2003 Fiscal Year Annual Research Report
ビタミンE転送蛋白質遺伝子と糖尿病およびその合併症との関連の検討
Project/Area Number |
15590956
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
後藤田 貴也 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (60322062)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日下 貴子 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (20338974)
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Keywords | ビタミンE / 糖尿病 / 合併症 |
Research Abstract |
[目的]糖尿病とその血管合併症の発症・進展に、酸化ストレスの亢進やCキナーゼ(PKC)の活性化の関与が示唆されている。ビタミンE(とくにα-tocopherol)は強力な抗酸化作用とPKC阻害作用をもつため、糖尿病とその合併症の発症・進展に抑制的に働く可能性が考えられている。われわれは以前、α-tocophero1転送蛋白質(α-TTP)の遺伝子異常が血中ビタミンE濃度を遺伝的に規定する因子であることを報告した。本研究では、血中ビタミンE濃度とα-TTP遺伝子多型の遺伝子型の頻度について、糖尿病患者群と対照群との間で比較検討した。[方法]外来通院中の2型糖尿病患者群(n=75)および正常対照群(n=75)の計150人より早朝空腹時に採血を行い、血清中のビタミンE(α,β,γ-tocopherol)濃度をHPLC法にて測定した。また同様に、末梢血白血球よりゲノムDNAを単離し、既報のヒトα-TTP遺伝子のイントロン4多型の遺伝子型(C/C、C/T、T/T)をPCR-RFLP法にて調べ、各対立遺伝子および遺伝子型の頻度を比較した。[成績]1)正常対照群に比較して糖尿病患者群では、β-tocopherol濃度には差を認めなかったが、脂質値で補正後のα-tocopherol濃度およびγ-tocopherol濃度は有意な低下を示した(それぞれP=0.03およびP=0.004)。2)α-TTP遺伝子のイントロン4遺伝子多型のC-アリルとT-アリルの頻度はそれぞれ、正常群では0.76と0.24、糖尿病患者群では0.74と0.26であり差を認めなかった。3)糖尿病患者群において遺伝子型がC/Cの者では、C/TおよびT/Tである者に比較して、γ-tocopherol濃度が有意な低下を示した(P=0.01)。[結論]糖尿病とγ-tocopherolとの関連、およびγ-tocopherolとα-TTP遺伝子との関連が示唆され、今後より大規模な解析を行う必要があるものと考えられた。
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Research Products
(1 results)