2004 Fiscal Year Annual Research Report
ビタミンE転送蛋白質と糖尿病およびその合併症との関連の検討
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15590956
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
後藤田 貴也 東京大学, 医学部附属病院, 寄附講座教員 (60322062)
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Keywords | ビタミンE / 遺伝子 / 血管合併症 |
Research Abstract |
[目的]糖尿病とその血管合併症の発症・進展に、酸化ストレス亢進やPKC活性化の関与が示唆されている。ビタミンEは強力な抗酸化作用とPKC阻害作用を持つため、糖尿病とその合併症の発症・進展に抑制的に働く可能性が考えられている。昨年度は、糖尿病患者では血中ビタミンE(α-およびγ-tocopherol)濃度が低下し、α-tocopherol転送蛋白質(α-TTP)遺伝子のイントロン4のC/T多型が、その濃度を規定する一因子であることを報告したが、今回はさらに新たな多型のスクリーニングを行った。 [方法]α-TTP遺伝子の全エクソンとその周辺領域をPCR-SSCP法により調べ、多型がプロモーター活性に与える影響は293細胞を用いたルシフェラーゼアッセイにより調べた。 [結果]ヒトα-TTP遺伝子の転写開始地点より335塩基5'上流地点に、アデニン(A)が9〜12回繰り返す多型[-335A(n)多型]を同定し、塩基配列決定法により確認した。24名の日本人を対象としてgenotypingを行った結果、-335A(n)多型のA(10)-アリルとA(11)-アリルの各対立遺伝子頻度はそれぞれ0.71と0.29であり、日本人一般集団中では、A(10)>A(11)>>A(9)、A(12)の順に対立遺伝子頻度がが高いものと考えられた。イントロン4多型と-335A(n)多型の遺伝子型は、24人中22人で完全に一致しており、強い連鎖不平衡が認められた[T-アリルはA(11)-アリルと連鎖]。この-335A(n)多型はプロモーター領域に存在するため、代表的な2つの遺伝子型であるA(10)及びA(11)がα-TTP遺伝子のプロモーター転写活性に与える影響を、293細胞を用いた感染実験により検討した。その結果、A(11)に比べてA(10)の方が有意に(p<0.01)転写活性化が強いことが明らかとなった。また、糖尿病患者における検討で、A(11)-アリルは網膜症の存在と有意な相関を示した[OR=1.76(95%Cl:1.03-2.89)]。 [結論]α-TTP遺伝子の-335A(n)多型はイントロン4多型と強い連鎖不平衡にある機能的多型であり、糖尿病合併症との関連も示唆された。
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Research Products
(2 results)