2004 Fiscal Year Annual Research Report
高分子ナノ微粒子を用いた動脈硬化巣への選択的遺伝子導入法の開発
Project/Area Number |
15590964
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
斯波 真理子 国立循環器病センター研究所, バイオサイエンス部, 室長 (70271575)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片岡 一則 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (00130245)
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Keywords | 遺伝子治療 / 高分子ナノ微粒子 / 気管内投与 / in vivo遺伝子導入 / ポリマーベクター / 動脈硬化巣選択的 / PEG-DET / 重合度 |
Research Abstract |
研究目的:遺伝子治療は、新しい治療法としての有用性が注目されているが、ウィルスベクターに関しては、安全性に問題があり、また、ポリマーベクターにはin vivoでの遺伝子発現効率に問題が残されている。我々は、ブロック共重合体を用いて、血中安定性の良好でin vivo遺伝子導入が可能な遺伝子導入ベクターの開発を行ってきた。本研究では、ブロック共重合体を用いて高分子ナノ微粒子を作成し、in vivo遺伝子導入の効率を改善し、疾患モデルの治療を行うこと、さらに、動脈硬化巣への選択的遺伝子導入法を開発することを目的とする。 研究方法:ポリエチレングリコール(分子量12,000)とDET (polyaminoethylene aminopropyl aspartamide)の共重合体(PEG-DET)を用い、プラスミドDNAと反応させて高分子ナノ微粒子とした。DETの重合度が68のものと、101のものを用い。NH基と燐酸基の比率(N/P比)を変化させ、実験に供した。in vitro遺伝子導入には、ルシフェラーゼ遺伝子をCos-1細胞、HepG2細胞、血管内皮細胞、THP-1細胞にトランスフェクションし、ルシフェラーゼ活性を測定して遺伝子発現の評価を行った。in vivo遺伝子導入は、高分子ナノ微粒子を気管内投与、および左室内投与し、一定期間後にそれぞれの臓器を摘出し、ホモゲナイズし、ルシフェラーゼ活性を測定した。 研究成果:PEG-DETを用いたトランスフェクションにより、Cos-1細胞、HepG2細胞、血管内皮細胞、THP-1細胞の、いずれの細胞へもExgen (polyethylenimine)以上の遺伝子導入が可能であった。重合度は68のものより101のものが遺伝子発現効率は良好であった。N/P比は20、40、80のもので、比率の高いほど、遺伝子発現効率が良好であった。in vivo気管内遺伝子導入では、重合度68、N/P)比80のPEG-DETで、気管内投与1日後に約80万(RLU/mg prot)の活性を認め、Exgenによる遺伝子発現量の40倍であった。3日後に最大の300万(RLU/mg prot)を認めた。7日-14日後でも、1万(RLU/mg prot)nの発現を認めた。6ヶ月齢の、動脈硬化病変を有するアポEノックアウトマウスへの左室内投与により、1日後に大動脈に遺伝子発現を認めた。その他の臓器には発現を認めなかった。 総括:PEG-DETを用いることにより、従来の方法に比しin vitroおよびin vivo遺伝子導入の著明な改善を認めた。
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Research Products
(2 results)