2004 Fiscal Year Annual Research Report
アンドロゲン受容体特異的コアクチベーターp120βのアンドロゲン抵抗性解除の解析
Project/Area Number |
15590968
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Research Institution | Dokkyo University School of Medicine |
Principal Investigator |
門伝 剛 獨協医科大学, 医学部, 講師 (20323363)
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Keywords | 前立腺癌 / アンドロゲン受容体 / コアクチベーター / p120 |
Research Abstract |
前立腺癌の再発例アンドロゲン抵抗性獲得のメカニズムをアンドロゲン特異的コアクチベーターp120βを用いて解明を試みた。正常アンドロゲン受容体(AR)を発現するアンドロゲン抵抗性前立腺癌PC3細胞においてp120βの発現がp120αに対して発現は優位ではなく、またdehydrotestosterone(DHT)存在下(24〜96時間の培養)においてもp120の発現比に変化を認めなかった。p120αとp120βの発現比の変化は正常ARの存在だけでは起こりえないと考えられた。次にPC3細胞においてp120αの発現を抑制するRNAi(interference)の構築を試みたが、最大30%の減少を認めるのみであり、RNAiの配列の決定が困難であり、RNAi法によるp120αの発現を完全に抑制することはできなかった。RNAiによりp120αの発現を抑制したPC3細胞へMMTVレポーター遺伝子とAR遺伝子を導入し、ルシフェラーゼアッセイを行うとDHT添加により、活性が30%抑制された。このことより内因性のp120αはARの転写活性に関与していることが示唆された。次にAR発現PC3細胞にp120αとp120βをそれぞれ遺伝子導入してDHTを添加して活性を比較した。p120αとp120β共に活性を上昇させ、コアクチベーターとして機能するとともに、その活性の強さは同等であった。p120αとβの機能的な違いをPC3細胞を用いて証明してきた。すなわちDHTと他のリガンドを同時に加えるとp120αのコアクチベーターの機能が抑制されるが、p120βの機能は抑制されなかった。しかしRXRのリガンドである9-cis RAのみ両者とも抑制されるという現象が起きた。しかしAR発現のPC細胞においてはDHTと9-cis RA同時添加ではp120βのコアクチベーターの機能は抑制されず、ARの発現量による違いにより起こるものと推定された。我々はRXRがコアクチベーターをリクルートして活性を調整することを証明してきたが、これらの結果はARからp120αはRXRの様な他の受容体にリクルートされ易く、p120βはリクルートされがたく、そのことによりp120αとp120βの機能の違いが出現するものと考えられた。以上の結果よりp120αとp120βの発現の差は前立腺癌のアンドロゲン感受性を規定する一つの要因であると考えられた。
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Research Products
(1 results)