2003 Fiscal Year Annual Research Report
成長ホルモン分泌調節に関与する神経ペプチドと一酸化窒素の相互関係について
Project/Area Number |
15590979
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Research Institution | Shimane Medical University |
Principal Investigator |
加藤 讓 島根大学, 医学部, 教授 (90030965)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宗宮 基 島根大学, 医学部, 講師 (50243431)
越村 邦夫 島根大学, 医学部, 講師 (90192575)
村上 宜男 島根大学, 医学部, 助教授 (10252909)
山本 昌弘 島根大学, 医学部, 助手 (50346392)
山根 雄幸 島根大学, 医学部, 助手 (20335566)
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Keywords | 成長ホルモン / 神経ペプチド / 一酸化窒素 / 下垂体 / 視床下部 / インスリン様成長因子 / カルシウムチャネル / 分泌調節 |
Research Abstract |
成長ホルモン(GH)の分泌に、視床下部に存在する神経ペプチドが密接に関与することがしられているが、その作用機序については十分明らかではない。一酸化窒素(NO)は新しい細胞機能調節因子として注目されている。われわれは、既にGH3細胞を用いて、内因性のNOがautocrine機序により、GH分泌に抑制的に作用することを明らかにした。さらに視床下部TRHは、GH3細胞においてGH分泌を促進する一方で、同時にGH3細胞からのNO放出を促進して自己のGH分泌に抑制的に作用する2作用を有することを明らかにした。またNO合成酵素(NOS)の存在が示唆されているヒト下垂体GH産生腫瘍細胞においても、TRHの添加によってはNO放出の促進が認められた。正常人においては、TRHの静脈内投与によってGH分泌は抑制される。正常人におけるTRHによるGH分泌抑制にも周囲細胞からのparacrine的なNOの関与が示唆される。また、ヒト動脈内皮を用いる細胞培養系において、ヒトGHの添加はNO放出を特異的に促進したが、用量関係は釣り鐘型を示した。即ち、下垂体GHは、正常範囲の血中濃度では血管内皮細胞に作用してNO分泌を促進して血管拡張作用を有するが、低濃度や高濃度のGHにはNO分泌に促進的な作用を有しないことが示唆された。この成績は、GH分泌欠損症やGH分泌過剰症に認められる心血管系の異常には、このようなNOを介する機序が関与することが強く示唆される。また、これらの疾患にみられる頭痛や頭重感にもこれらの異常が部分的に関与する可能性が高い。とくに、高齢者にみられる生理的なGH分泌低下の是正がQOL改善に有用であることを意味する。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] T.Mori, Y.Murakami, K.Koshimura, H.Sasano, Y.Kato: "Expression of hypothalamic corticotropin-releasing hormon-like immunoreactivity in isolated ACTH deficiency : A report of an autopsied case"Journal of Endocrinological Investigation. 26. 556-559 (2003)
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[Publications] Kunio Koshimura, Junko Tanaka, Yoshio Murakami, Yuzuru Kato: "Effect of high concentration of glucose on dopamine release from pheochromocytoma-12 cells"Metabolism. 52・7. 922-926 (2003)
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[Publications] Masahiro Yamamoto, Yoshio Murakami, Shigeyuki Tahara, Akira Teramoto, Masayuki Wada, Yuzuru Kato: "Severe osteoporosis in an adult patient with untreated child-onset Growth Hormone and gonadotropin deficiency"Clin Pediatr Endocrinol. 12・S20. 111-113 (2003)
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[Publications] 加藤 讓: "間脳下垂体疾患の診療の進歩と課題"日本内分泌学会雑誌. 79・S. 5-8 (2003)
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[Publications] Yuko Yamane, Yoshio Murakami, Masateru Nishiki, Yuzuru Kato: "A case of idiopathic hypoparathyroidism associated with sensorineural deafness and mental retardation"Clin Pediatr Endocrinol. 12・S20. 97-99 (2003)
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[Publications] Yoshio Murakami, Yuzuru Kato: "Hypercholesterolemia and obasity in adult patients with hypopituitarism : a report of a nation-wide survey in Japan"Endocrine Journal. 50・6. 759-765 (2003)