2004 Fiscal Year Annual Research Report
高リン血症により誘発されるヒト副甲状腺細胞増殖に関与する遺伝子群の基礎的研究
Project/Area Number |
15590985
|
Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
佐藤 幹二 東京女子医科大学, 医学部, 助教授 (60138857)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小原 孝男 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (70090488)
|
Keywords | 副甲状腺 / cDNA microarray / リン(phosphate) / 副甲状腺ホルモン(PTH) / 成長因子 / prion |
Research Abstract |
当科では、成人発症性低リン(P)血症性骨軟化症の患者に長期間にわたりPを補充していたところ、3次性の副甲状腺機能亢進症を呈した症例を経験した。この患者の副甲状腺遺伝子を解析した結果、種々の遺伝子異常が生じていた(文献(1))。したがって高P血症により副甲状腺細胞の増殖が刺激され続けた結果、腫瘍化するにいたったと推測される。 そこで、原発性(1°-HPT)および続発性(II°-HPT)副甲状腺機能亢進症の患者から得られた副甲状腺細胞を用いてPTHが長期間にわたり分泌される器官培養系を確立した。この器官培養系で副甲状腺組織を培養すると,PTHの分泌は高P濃度下で促進され,かつ細胞増殖も促進した。つまり腎透析患者における病態をin vitroで再現できた。さらに、ヒトの全遺伝子を解析できるoligo-DNA microarray(41000個)を用いて、副甲状腺細胞に発現している遺伝子を解析したところ、ヒト副甲状腺腫細胞では種々の細胞接着因子、形態関連遺伝子,dopamine receptor D4、prionなどが強く発現していた。また、PTH、chromogranin-A,カルシウム感知受容体,ビタミンD受容体などの副甲状腺に関連した遺伝子も十分に発現していた。高P濃度の培養液にて培養すると、PTHを始めとして100個以上の遺伝子の発現が2倍以上に増加した。また、I°-HPTよりもII°-HPT患者より得た副甲状腺細胞の方が、Pに対する細胞増殖反応が大きかった。細胞増殖因子として、既知のもの(FGF-2,IGF-1,TGF-αなど)の反応はそれほど顕著ではなかったので、未知の機序を介して細胞増殖が起こっている可能性も示唆された。今後は、P濃度を変えた場合に、最初にどのような増殖シグナルが生じるかを経時的に検討しPにより誘発される副甲状腺細胞の増殖機構を明らかにしていきたい。
|
Research Products
(5 results)