2003 Fiscal Year Annual Research Report
テロメレース遺伝子プロモーター活性を指標とする白血病幹細胞の探索とその性状解析
Project/Area Number |
15590994
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
東條 有伸 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (00211681)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅野 茂隆 東京大学, 医科学研究所, 教授 (50134614)
曽田 泰 東京大学, 医科学研究所, 助手 (00361618)
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Keywords | テロメレース / テロメレース逆転写酵素 / プロモーター / レンチウイルスベクター / 白血病幹細胞 |
Research Abstract |
造血系に代表されるように、成体各組織において幹細胞システムの存在が知られている。近年、腫瘍細胞にも正常組織と同様に分裂増殖能力の階層性(hierarchy)-幹細胞システム-が存在するという知見が注目されており、がんを根治するためには、自己複製能力を有する腫瘍幹細胞を標的とする新たな治療戦略が必要であるという認識が広まりつつある。この視点に立てば、腫瘍幹細胞を生きた状態のまま同定し、その生物化学的な性状を解析することは急務である。われわれは、不均一な腫瘍細胞集団において極めて高いテロメレース活性を示す細胞の中に幹細胞が含まれると想定し、当該細胞を生きたまま(前方視的に)同定・分取する方法を考案した。テロメレース活性はその触媒サブユニットである逆転写酵素(hTERT)遺伝子の発現レベルと正の相関を示すため、hTERT遺伝子の5'上流域1.2kbをGFP変異体(hrGFP)またはYFP変異体(Venus)遺伝子につなげた発現カセットを含む第三世代レンチウイルスベクターを作製した。最終的に得られた高力価のVSV-Gシュードタイプ型hTERT-hrGFP/Venusウイルスは、培養細胞や患者細胞に対して高い遺伝子導入効率を示した。実際TERT-hrGFPウイルスをCML由来K562細胞とAML-M3由来NB4細胞に感染させ、それぞれimatinibまたはATRAで処理した場合、前者では濃度依存性、後者では時間依存性に増殖抑制とTRAP法で測定したテロメレース活性の低下を認めた。同時に行ったフローサイトメトリーにおいて、hrGFPの蛍光強度はテロメレース活性とほぼ同様の変化を示した。以上より、フローサイトメトリー上の蛍光強度は内因性テロメレース活性を反映することも確認できた。VenusはYFPと比較してタンパク質合成後速やかに蛍光を発し、しかもその強度は20倍高いため、患者検体でもテロメレース活性が高い細胞は蛍光顕微鏡下で可視化することができた。われわれは、これまでに約20例の急性骨髄性白血病(AML)患者由来白血病芽球について上記解析を行い、以下の結果を得ている。 (1)患者検体におけるVenus陽性細胞の割合やその平均蛍光強度については症例間の差が大きく、治療抵抗例や再発例は高い傾向が見られた。 (2)レポーターウイルス感染前後に添加したCSFによってVenus陽性細胞の割合やその平均蛍光強度が増強する例と変化しない例があり、未分化な形質の芽球(M0やM1)は後者に該当する傾向が見られた。 (3)マウス骨髄間質細胞との共培養の結果、敷石状領域を形成する芽球細胞集団の中でもVenus陽性・陰性細胞が混在していることが観察され、白血病幹細胞システムの作業仮説を裏付ける結果が得られた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] S.Kobayashi, A.Tojo, et al.: "Prospective identification of putative telomerase -positive primary leukemia cells."BLOOD. 102・11. 453 (2003)
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[Publications] Y.Bai, Y.Soda, A.Tojo, S.Asano, et al.: "Effective transduction and stable transgene expression in human blood cells by athird-generation lentiviral vector."Gene Therapy. 10. 1446-1457 (2003)
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[Publications] J.Ooi, A.Tojo, S.Asano, et al.: "Unrelated cord blood transplantation for adult patients with de novo acute myeloid leukemia."BLOOD. 103. 489-491 (2003)
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[Publications] Y.Soda, A.Tojo, A.Asano, et al.: "A novel maxizyme vector targeting a bcr-abl fusion gene induced specific cell death in Philadelphia chromosome-positive acute lymphoblastic leukemia."BLOOD. (印刷中). (2004)
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[Publications] K.Izawa, Y.Soda, A.Tojo, S.Asano, et al.: "Hematopoietic activity of common marmoset CD34 cells isolated by a novel Monoclonal antibody MA24."Experimental Hematology. (印刷中). (2004)