2003 Fiscal Year Annual Research Report
悪性化におけるrとK選択の役割とK選択による多剤耐性機構の解明
Project/Area Number |
15590995
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
本倉 徹 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (00192823)
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Keywords | 多段階発がん / r選択 / K選択 / MDR1 / 多剤耐性 / c-myc / ras |
Research Abstract |
1.c-myc+EJ-ras遺伝子導入細胞(MR5とMR8)のK選択による多剤耐性獲得におけるABCtransporterの役割: K選択後の多剤耐性について、シクロスポリン添加による耐性解除を検討した。clonogenic assayではわずかの解除だったが、SRB assayでは耐性は1/3減少した。一方、MDR1/Pgp遺伝子の導入発現では、抗がん剤耐性を付与できるにもかかわらずK選択下にクローン選択を誘導することはできなかった。すなわち、MDR1/Pgpの発現亢進がK選択後の多剤耐性に少なくとも一部寄与しているが、K選択の標的とは考えられなかった。一方、Pgpの基質とはなりえないキロサイドに対する耐性機構が存在し、MDR1/Pgp高発現とは異なる。そのため、キロサイドによる耐性機構として知られているキロサイドの輸送・代謝経路にある蛋白の遺伝子発現を解析中である。 2.r選択とK選択によって選択される標的遺伝子の探索: K選択細胞からレトロウイルスベクター(pMXI)を用いてcDNAライブラリーを2つ作成し、親株細胞MR8に感染させてr選択ならびにK選択を行って各選択下での標的遺伝子の探索を行った。感染導入したcDNAライブラリーをPCRで増幅・回収してゲル上に展開すると、感染直後スメアーだったものが、2週間以上のrもしくはK選択後にはoligoclonal bandsになり、クローン選択の進行が示された。得られたbandをPCRで増幅・回収し、塩基配列を決定したところ、細胞周期制御ならびに腫瘍化に関連すると思われるいくつかの遺伝子が確認された。現在その中で複数回クローン化された有望な遺伝子に関して、発現とクローン選択への寄与について解析中である。
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Research Products
(1 results)