2004 Fiscal Year Annual Research Report
悪性化におけるrとK選択の役割とK選択における多剤耐性機構の解明
Project/Area Number |
15590995
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
本倉 徹 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (00192823)
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Keywords | 多段階発がん / 自然選択 / P糖蛋白 / 薬剤耐性 / Myc / Ras / 14-3-3 / DNAメチル化 |
Research Abstract |
1.K選択による多剤耐性機能の解析:c-myc+EJ-ras導入ラット胎児線維芽細胞(MR5およびMR8細胞)で、通常の細胞培養に匹敵するγ選択と異なり高細胞密度で培養するK選択によって多剤耐性クローンが出現することを見出し、その分子基盤について解析を進めてきた。DXRやVCR耐性に関与するMDR1b/P糖蛋白の発現亢進については、DNAメチル化や遺伝子増幅の関与はなく転写因子NF-YAの発現亢進を介した機序が示唆された。一方、Ara-C耐性に関与する遺伝子群の発現を解析したところ、cytidine deaminaseの高発現やENT1の発現低下が少なくとも一部の株で確認された。また、K選択による細胞増殖速度の低下価が細胞周期特異的抗がん剤の感受性低下に関与していることを示した。よってK選択による多剤耐性には複数の機序が関与しているが、いずれも臨床で観察される現象であることから、このモデルが難治性腫瘍の解析に有用であることが示唆された。 2.K選択によって選択される標的遺伝子の探索:K選択標的遺伝子とし14-3-3σ遺伝子を単離し、r選択後細胞では著明な発現抑制を、K選択後には著明な発現亢進していることを見出した。さらにその発現制御にDNAメチル化が関与していることを見出した。すなわち、r選択後には14-3-3σ遺伝子上流のCpGのメチル化の進行が認められ、K選択後には完全な脱メチル化が生じていることが判明した。このメチル化や脱メチル化には可塑性と不可逆性が観察され、in vitroの腫瘍化モデルにおけるクローン選択にDNAメチル化が深く関与していることが明らかとなった。以上から、このモデルは腫瘍化におけるエピジェネティクスの解明に有用なモデルと考えられる。
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Research Products
(1 results)