2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15591014
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
松永 卓也 札幌医科大学, 医学部, 講師 (70260768)
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Keywords | 不死化ヒトストローマ細胞 / 人工骨髄 / 臍帯血 / CD34陽性細胞 / 赤血球 |
Research Abstract |
hTERT導入ストローマ細胞を用いて増幅させた臍帯血由来のCD34陽性細胞を赤血球に分化/増殖させる実験を行った。赤血球への分化増殖は三段階によった。1st phase(day0-14)では、hTERT導入ストローマ細胞と共に、SCF,TPO,FLの存在下で14日間培養した。2nd phase(day15-28)では、SCF,IL-3,EPOの存在下で14日間液体培養した。3rd phase(day29-34)では、EPO4U/mlの存在下でマクロファージと3日間共培養した。1st phaseの共培養にて総細胞数は7,000倍に増幅された。さらに2nd phaseの液体培養で100倍に増幅され(total 700,000倍)、3rd phase(day29-34)でさらに3倍に増幅された(total2,100,000倍)。Glycophorin陽性細胞は、day28とday34の時点では、各々92%、97%であった。つまり、赤芽球の効率的な増幅に成功した。Day28において成熟赤血球の割合はわずか0.7%あったが、day34まで6日間マクロファージと共培養することで赤芽球は脱核し、成熟赤血球は32%まで増加した。即ち、妊婦1人の臍帯血から2.0x10^<12>個の成熟赤血球が産生可能なことが明らかとなった。濃厚赤血球製剤1単位に含有される赤血球数は1.8-2.0x10^<12>個であることから、申請者の培養システムを用いれば、臍帯血からの赤血球製剤化が現実化することが示唆される。 次にin vitroで作成した成熟赤血球のヘモグロビン含有量および酸素解離能(酸素解離曲線)を測定した。その結果、in vitroで作成した成熟赤血球のヘモグロビン含有量は健常人の新鮮赤血球と同等であること、更にin vitroで作成した成熟赤血球の酸素解離曲線(50% oxygenation of hemoglobin)は濃厚赤血球製剤のそれと健常人の新鮮赤血球のそれの中間であることが明らかになった。即ち、in vitroで作成した成熟赤血球は輸血可能であることが示唆された。
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