2004 Fiscal Year Annual Research Report
多彩表現型血栓症を示すVWF特異的切断酵素の活性低下の病態解析
Project/Area Number |
15591017
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
藤村 吉博 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (80118033)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 雅則 奈良県立医科大学, 医学部, 助手 (60316081)
石指 宏通 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (50260807)
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Keywords | TTP / ADAMTS13 / VWF |
Research Abstract |
血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)は所謂Moschowitzの5徴候を主徴とする全身性重篤性疾患である。近年、血漿von Willebrand因子切断酵素(VWF-CP、別名ADAMTS13)活性とこのインヒビターの測定法が確立され、同活性著減によりTTPの確定診断が可能となり、またTTPには先天性と後天性のものがある事が明らかになった。このアッセイの基本はVWFマルチマー解析であるが、私のラボはこれが実施可能な本邦の代表的施設として過去7年間に500例を超えるTTP並びに類縁疾患患者の血漿解析を全国の医療施設より依頼された。この内、倫理委員会承認のもと8家系9症例の先天性TTP(Upshaw-Schulman症候群)についてADAMTS13遺伝子解析を行った(Blood,2004a, Blood,2004b)。一方、遺伝子発現ADAMTS13を用いて2種類のマウスモノクロナール抗体(A10とC7)を作成し、この酵素が肝臓の伊東細胞で産生されている事を証明した(論文投稿中)。さらに、先天性並びに後天性TTP患者血漿中の同抗原をwestern blotで解析し、前者では著減、後者では著減〜正常と多型を示す事を示した(論文作成中)。また、多彩表現型を示す後天性TTP中で、血管内リンパ腫とC型肝硬変に合併する例では上記5徴候は揃っていないが、共にADAMTS13インヒビター陽性の定型的TTPである事を証明した(Neurology, 2004, J Hepatology, 2005)。最後に、ADAMTS13活性の簡便・迅速測定法については、まずADAMTS13によるVWFの最小基質はTyr842-Met843結合を含むVWF-A2ドメイン残基833-905である事を示した(Blood, 2004c)が、ごく最近N末端側の-Tyr842を特異的に認識するマウスモノクロナール抗体(N10)を作成する事に成功し、酵素免疫測定法による簡便かつ高感度の活性測定系を構築した(論文未発表)。
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