2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15591019
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Research Institution | JICHI MEDICAL SCHOOL |
Principal Investigator |
室井 一男 自治医科大学, 医学部, 助教授 (50190939)
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Keywords | 血管内皮前駆細胞 / 自家骨髄細胞移植 / 末梢性血管疾患 |
Research Abstract |
血管外傷や冠動脈疾患の患者では、骨髄の血管内皮前駆細胞(CD34陽性細胞)が末梢血に動員され障害部位に到達し血管を新生するとの報告がある。昨年度、慢性腎不全によって血液透析を受けている患者では末梢血中の血管内皮前駆細胞数が低下していることを報告し、障害された血管の修復能が低下しているため、慢性腎不全では心血管系疾患を発症する可能性が高まることが推測された。本年度は、先ず冠動脈疾患と大血管の動脈瘤手術後の患者における末梢血中の血管内皮前駆細胞数(CD34陽性細胞数)を測定した。冠動脈疾患の患者の末梢血中のCD34陽性細胞数は健常ヒトに比して、有意に低下していた。末梢血の血管内皮前駆細胞数に及ぼす因子を検討したところ、高血圧、高脂血症、喫煙とは無関係であったが、糖尿病を有している患者で有意に末梢血中のCD34陽性細胞数が低下していた。多変量解析でも、糖尿病が末梢血中のCD34陽性細胞数の減少に関係した唯一の因子であった。大血管の動脈瘤手術後の患者における末梢血中の血管内皮前駆細胞数の検討では、手術後の血清中のVEGFは徐々に増加し手術7日後で最大となった。末梢血中のCD34陽性細胞数は、血清VEGF値とほぼパラレルに増加し手術7日後で最大数となった。この結果から、大血管の動脈瘤手術後ではVEGFの産生が増加し、骨髄からCD34陽性細胞の動員を来すと考えられた。次に、末梢性血管疾患を有する患者の骨髄中の造血前駆細胞数をコロニー培養法を用いて検討した。ASOとBuerger病の患者の骨髄中のCFU-GMおよびBFU-Eは、健常ヒトのそれに比して有意に減少していることが判明した。この結果から、ASOはBuerger病では、骨髄中の血管前駆細胞も減少していることが推測された。
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Research Products
(3 results)