2004 Fiscal Year Annual Research Report
アデノ随伴ウイルスベクターを用いた血友病に対する遺伝子治療法の最適化
Project/Area Number |
15591022
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Research Institution | Jichi Medical School |
Principal Investigator |
水上 浩明 自治医科大学, 医学部, 講師 (20311938)
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Keywords | AAVベクター / 血清型 / 血友病B / 血友病A / 凝固第IX因子 / 凝固第VIII因子 / 抗体 / 脂肪組織 |
Research Abstract |
各血清型のAAVに由来し、マーカー並びにエリスロポエチン、凝固第IX因子などを搭載するベクターを作製し、主にマウスにおける有効性を検討した。その結果、骨格筋に対しては1型を、肝臓には5型及び8型を用いた場合に高い効果が得られた。凝固第IX因子を用いた実験では、ヌードマウス骨格筋に遺伝子導入を行った結果、治療域に達する血中濃度を1年以上にわたって維持することが出来た。また、新規の標的組織として脂肪に対する投与法に関して探索を行い、生体に投与可能な添加剤(界面活性剤)をベクター溶液に加えることで脂肪組織に対する遺伝子導入効率が大幅に改善することを見出した。この方法によって肥満マウスモデルの脂肪組織にエリスロポエチン遺伝子を搭載したベクターによる遺伝子導入を行ったところ、血中エリスロポエチン濃度は大幅に上昇し、骨格筋及び肝臓を用いた場合にほぼ匹敵する結果が得られた。用いたマウスは著しい多血症を呈し、発現したエリスロポエチンが生物学的活性を有していることが裏付けられた。更にこれらのマウス脂肪組織を手術的に摘除したところ、遺伝子導入効果の消失が確認され、標的とした脂肪組織に特異的な導入遺伝子の発現が示唆された。摘出した臓器を解析したところmRNA及び蛋白質レベルが血中濃度と相関しており、AAVベクターに添加剤を加えることの効果が裏付けられた。また、8型を用いた場合にはより高い血中濃度が得られ、凝固第IX因子を用いた場合にも治療域に達した。しかしながらその後の解析で標的とした脂肪の他に肝臓における強発現が確認された。このことは8型のキャプシドが肝臓に対して強い親和性を有していることに由来する現象と考えられた。
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Research Products
(7 results)