2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15591027
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
八田 善弘 日本大学, 医学部, 助手 (30318430)
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Keywords | 成人T細胞性白血病 / IκB / 癌抑制遺伝子 / NF-κB |
Research Abstract |
【目的】 NF-κBは細胞増殖に関与する重要な転写因子であり、その核内移行を抑制しているのがIκBである。最近、ホジキン病でIκB遺伝子の変異が報告され、それによるNF-κBの脱制御、腫瘍化の機序が考えられている。一方、成人T細胞性白血病(ATL)でもNF-κBの発現が亢進していることが知られている。本研究ではIκB/NF-κB異常によるATL発症の機序を究明する。 【対象と方法】 ATLの4細胞株(OKM2T、OKM3T、F6T、SU9T01)と1例の急性型ATL患者末梢血を検討した。対照として非ATLの10細胞株、HL60(急性骨髄性白血病)、U937(急性単球性白血病)、HEL(赤白血病)、NALM1(急性B細胞性白血病)、Jurkat、JM、MOLT4(急性T細胞性白血病、リンパ腫)、Raji(バーキットリンパ腫)、KS1 (primary effusion lymphoma)、C2-2(多発性骨髄腫)および非ATL患者6例(骨髄異形成症候群、マントル細胞リンパ腫、有毛細胞性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病)についても検討した。正常対照として正常人リンパ球を用いた。抽出したRNAを用いてIκBαの全エクソンについてRT-PCRを施行し、シークエンサーで塩基配列を解析した。NF-κB蛋白の発現は免疫染色で検討した。 【結果】 1.RT-PCRでは全検体でIκBαが発現していた。 2.塩基配列はKS1でIκBαのコドン30にCAC→CGCの変異が認められた。さらにHL60、K562、OKM2T、有毛細胞性白血病患者検体でコドン27のGAC→GAT、U937、Su9T01、KS1でコドン102のGCC→GCTのsilent mutationがみられた。 3.Tax蛋白はNF-κBを活性化させることが知られている。tax発現細胞株であるOKM3TではNF-κB蛋白が核内に発現していた。KS1では核内のNF-κB発現は弱く、検出されたIκBαの遺伝子変異はNF-κBの核内移行を促進していないと考えられる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Hatta Y., Arima N., Machino T., et al.: "Mutational analysis of IκB in hematologic malignancies."International Journal of Molecular Medicine. 11・2. 239-242 (2003)
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[Publications] Aikawa S., Hatta Y., Tanaka M., et al.: "Requirement of soluble factors produced by bone marrow stromal cells on the growth of novel established human myeloma cell line."International Journal of Onocology. 22・3. 631-637 (2003)