2003 Fiscal Year Annual Research Report
造血幹細胞の確実で安全な採取法の開発-移植療法・再生医療の普及を目指して
Project/Area Number |
15591030
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
高松 泰 福岡大学, 医学部附属病院, 助手 (50320297)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 和夫 福岡大学, 医学部, 教授 (60145422)
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Keywords | 末梢血幹細胞動員 / G-CSF / 血小板減少 / 脾腫 |
Research Abstract |
G-CSF投与後に末梢血中に造血幹細胞が動員されるが、その際に血小板が減少する。正常ドナーにとって憂慮すべき合併症であり、その機序の解明を目的に研究を行った。G-CSF過剰発現マウスで血小板減少は見られないことより、G-CSFが骨髄での巨核球系造血を直接抑制しているとは考え難い。G-CSFによる末梢血幹細胞動員時に脾腫が見られるが、脾臓は血小板のプールであり、巨脾の患者では脾での血小板抑留の亢進により血小板数が減少すると考えられている。そこでG-CSF投与により脾腫を生じ脾機能が亢進するため血小板が減少すると仮説を立てた。マウスにG-CSF 250μg/kg/日を7日間投与すると、血小板数は668±80から449±49×10^9/Lに減少し、脾臓の重量は104±20から264±29mgに増加した。脾機能亢進状態では輸注した血小板は脾臓に取り込まれ血液中から早期に消失すると予想されるため、CMFDAで標識した血小板をマウスに輸注し、経時的に標識血小板の残存量を測定したところ、予想に反してG-CSFを投与したマウスと対照マウスの間で血小板消失速度に差は見られなかった。次にG-CSF投与に伴う血小板減少に脾臓が関与しているかどうか確認する目的で、脾臓を摘出したマウスにG-CSFを投与して血小板数を測定したところ、血小板数は745±51×10^9/Lから385±65×10^9/Lに減少し、正常マウスと比較してG-CSF投与後の血小板減少の程度に差は見られなかった。以上のことよりG-CSFを投与すると脾腫を生じるが、脾機能亢進は血小板減少の原因ではないことが明らかとなった。 マウスにG-CSFの投与を継続すると7日目に最低値となった血小板数は11日目には増加し始め、14日目には投与前のレベルに回復した。G-CSF投与による血小板減少は一過性の現象と考えられ、その経過は末梢血への造血幹細胞動員に逆相関している。我々はG-CSF投与後に骨髄から末梢血中に巨核球が流出することが観察した。巨核球からの血小板放出には骨髄間質細胞との接着が重要とされており、骨髄からの巨核球の流出が血小板数におよぼす影響について現在研究を行っている。
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