2004 Fiscal Year Annual Research Report
造血幹細胞の確実で安全な採取法の開発-移植療法・再生医療の普及を目指して
Project/Area Number |
15591030
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
高松 泰 福岡大学, 病院, 助手 (50320297)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 和夫 福岡大学, 医学部, 教授 (60145422)
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Keywords | 造血幹細胞移植 / ブスルファン / 薬物動態 |
Research Abstract |
造血幹細胞移植は、骨髄の造血幹細胞障害により起こる白血病、再生不良性貧血の治癒を目指し、ドナーから正常な造血幹細胞を移植する治療法である。難治性血液疾患に対する移植療法の有効性は確立しているが、造血幹細胞採取時のドナーの安全性、移植療法に伴うレシピエントの安全性はまだ十分に確立されていない。移植療法の安全性を向上すべく研究を行っている。 移植を行う場合、体内に残存する腫瘍細胞を撲滅し、ドナーの造血幹細胞が拒絶されることなく生着するために薬剤もしくは放射線を用いた前処置療法を行う。ブスルファンは移植前処置に用いられる最も標準的な薬剤で、その殺細胞効果は定常状態の平均血中濃度(Css)に依存する。欧米人を対象とした研究では、ブスルファン内服後の薬物体内動態には大きな個人差があり、血中濃度が低い症例では移植片の拒絶、移植後の白血病再発が多く、血中濃度が高い症例では治療関連毒性(RRT)の頻度が高いと報告されている。しかし日本人におけるブスルファン薬物動態の研究はない。我々はブスルファンの蛍光・HPLC測定法を開発した。この方法を用いてブスルファン内服して同種造血幹細胞移植を行った7症例の血漿ブスルファン濃度を測定し、ベイジアン法を用いた体内動態解析を行った。ブスルファンのCssは745-2422ng/mLと症例間で大きな差が見られた。Cssが1000ng/mL以上であった4症例の中の1例は肝中心静脈閉塞症を来たした。一方、Cssが1000ng/mL未満であった3症例では重症なRRTは認められなかった。以上の結果より、欧米人と同様に、日本人においてもブスルファン内服後の血中濃度には個人差があり、個々の薬物動態に応じてブスルファンの内服量を調整することにより、RRTを軽減できると考えられた。現在ブスルファンの服用量を調節する多施設共同臨床研究を実施している。
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Research Products
(4 results)