2003 Fiscal Year Annual Research Report
日本人に頻度が高いHLAアリルにより拘束されるマイナー組織適合抗原の同定
Project/Area Number |
15591035
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
赤塚 美樹 愛知県がんセンター, 腫瘍免疫学部, 主任研究員 (70333391)
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Keywords | マイナー組織適合抗原 / 細胞傷害性T細胞 / 養子免疫療法 / 造血器悪性腫瘍 |
Research Abstract |
マイナー組織適合抗原(以下、マイナー抗原)に特異的な細胞傷害性T細胞(CTL)のうち、造血器腫瘍細胞を含む血液系細胞のみを傷害するものは同種造血幹細胞移植後の再発腫瘍の免疫療法に有用である。最近我々はHLA-A24およびB44に拘束性の血液細胞特異的なCTLを用いて、これらのCTLが認識するマイナー抗原をコードしている遺伝子(BCL2A1)の同定に成功した。この遺伝子は血液系細胞だけに発現しており免疫療法に有用と思われるが、そのマイナー抗原のドナー・不適合が移植後の合併症に及ぼす影響を検討することは、安全性の観点から重要である。HLA遺伝子型一致非血縁者間移植を受けたHLA-A24陽性320例を対象として検討した結果、HLA-A24拘束性のBCL2A1マイナー抗原の不適合は重症移植片対宿主病の発症に有意な影響を与えなかった。またテトラマーを用いた検討では、移植後数ヶ月にわたりこのマイナー抗原特異的T細胞が末梢血に存在することが分かり、イムノサーベイランスを果たしている可能性が示された。これ以外に、HLA-A*3303拘束性のCTLが認識する抗原の同定を行った。細胞パネルを用いた検討により、このCTLはY染色体上のq11.2に存在するTMSB4Y遺伝子の産物を認識することが分かった。さらに詳細なミニ遺伝子を用いた検討により、抗原エピトープはTMSB4Yの非翻訳領域から潜在的に翻訳されてくる11アミノ酸からなるペプチドであることが分かった(投稿準備中)。この遺伝子は比較的血液系細胞に多く発現しており、免疫療法への応用性を現在検討している。現在これらのペプチドを用いて、ハイリスク造血器腫瘍患者に対する養子免疫療法の臨床試験を準備している(当センターの倫理委員会の承認済み)。また、上記以外の4種類の血液系細胞に特異的なCTLについて抗原遺伝子の同定を行っている。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Yoshiki Akatsuka, et al.: "Identification of a polymorphic gene, BCL2A1, encoding two novel hematopoietic lineage-specific minor histocompatibility antigens."Journal of Experimental Medicine. 197. 1489-1500 (2003)
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[Publications] Yoshiki Akatsuka, et al.: "Disparity for a newly identified minor histocompatibility antigen, HA-8,correlates with acute graft-versus-host disease after haematopoietic stem cell transplantation from an HLA-identical sibling."British Journal of Haematology. 123. 671-675 (2003)
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[Publications] Tetsuya Nishida, et al.: "Clinical relevance of a newly identified HLA-A24-restricted minor histocompatibility antigen epitope derived from BCL2A1, ACC-1,in patients receiving HLA genotypically matched unrelated bone marrow transplant."British Journal of Haematology. 124. 629-635 (2003)
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[Publications] Eisei Kondo, et al.: "Identification of novel CTL epitopes of CMV-pp65 presented by a variety of HLA alleles."Blood. 103. 630-638 (2004)
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[Publications] Kunio Tsujimura, et al.: "Thymus leukemia antigen (TL)-specific cytotoxic T lymphocytes recognize the alpha1/alpha2 domain of TL free from antigenic peptides."International Journal of Immunology. 15. 1319-1326 (2003)