2003 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトより分離したウイルス遺伝子による自己免疫病発病に関する研究
Project/Area Number |
15591043
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宗像 靖彦 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (20271950)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
張替 秀郎 東北大学, 医学部附属病院, 講師 (50302146)
亀岡 淳一 東北大学, 医学部附属病院, 講師 (30261621)
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Keywords | パルボウイルスB19 / 関節リウマチ / トランスジェニックマウス |
Research Abstract |
関節リウマチ(RA)の発症には、遺伝的要因に加え環境要因として微生物感染が関与することが推定されてきた。我々はこれまでにパルボウイルスB19(B19)感染およびB19の機能蛋白NS1の発現がTNFα産生を誘導することを示し、B19感染がRAの原因となりうることを示唆してきた。本研究では、RA病変部位より分離したB19のNS1遺伝子を導入したトランスジェニック(Tg)マウスを作成し、生体における免疫異常発現機序を追求した。NS1遺伝子をC57BL/6(B6)マウスに導入して得られたB6-NS1-Tgマウスは関節炎を自然発症しなかった。B6-NS1-Tgマウスを遺伝的背景の異なるMRL+/+マウスと交配したが、関節炎の発症は認められなかった。B6マウスは牛タイプIIコラゲン(CII)により誘導される関節炎(CIA)を起こしにくい(3%)系統であるが、5系統のB6-NS1-Tgマウス中3系統は高い頻度(62%)で臨床的・病理学的にRA病変と一致する急性多発性関節炎を生じた。自己抗原であるマウスコラゲンでは関節炎は誘導されず、牛コラゲンによるCIA発症率は関節におけるNS1の発現と相関していた。CIAを発症したB6-NS1-Tgマウスでは血中のTNFαや抗CII抗体は著しく上昇していた。また、B6-NS1-Tgマウスの脾リンパ球はin vitroで牛コラゲンにより刺激をうけ、増殖能およびIL-2・IFNγ・IL-10の産生が亢進した。Tgマウスを用いた本研究により、B19の機能蛋白NS1がB6マウスのCIA感受性を変化させる機能に関与することが明らかになった(論文投稿中)。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Saito, T, Munakata, Y, Fu, Y, Fujii, H, Kodera, T, Miyagawa, E, Ishii, K, Sasaki, T: "Evaluation of anti-parvovirus B19 activity in sera by assay using quantitative polymerase chainreaction"J Virol Method. 107. 81-87 (2003)