2003 Fiscal Year Annual Research Report
ケモカインによる気道炎症・リモデリングの制御と気管支喘息治療応用に関する基礎研究
Project/Area Number |
15591044
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
足立 哲也 帝京大学, 医学部, 講師 (30321996)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
茆原 順一 秋田大学, 医学部, 教授 (80197615)
大田 健 帝京大学, 医学部, 教授 (30160500)
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Keywords | 気管支喘息 / 気道上皮細胞 / サイトカイン / ケモカイン / シグナル伝達 |
Research Abstract |
Eotaxinは好酸球に対し特異的な遊走活性を有し、気管支喘息の病態において重要な役割を担っている。またEGFは気道上皮のリモデリングに関与し、癌細胞などでGタンパク共役型レセプターとEGFレセプター(EGFR)間のクロストークが指摘されている。我々は以前気道上皮細胞にCCR3がmRNAレベルで発現していることを報告した。そこで今回我々はeotaxin刺激によるMAPキナーゼの活性化を検討し、その活性化におけるEGFRの関与について検討した。 Eotaxinで刺激した気道上皮細胞株(NCI-H_<292>)の細胞内タンパクを抽出し、電気泳動後抗リン酸化ERK/p38抗体によるWestern blottingを行った。次にeotaxinによるEGFレセプター(EGFR)の活性化と、MAPキナーゼ活性化に対するEGFR特異的阻害剤(AG1478)の影響を検討した。またIL-8産生能に対する影響は、ELISAで検討した。 Eotaxin刺激により、気道上皮細胞ERK1/2またp38のリン酸化を認めた。一方我々はEGF非存在下で、eotaxin刺激によってEGFRが活性化されることを確認した。またeotaxin刺激によるMAPキナーゼ活性化は、AG1478によって明らかに抑制された。またeotaxinによるIL-8産生も、AG1478によって抑制された。 現在までに想定されているCCR3を介した気道上皮のシグナル伝達経路は、以下の通りである。ERK1/2は恐らくGβγ→PI-3キナーゼγ→チロシンキナーゼ→Ras→Raf-1→MEK→ERK1/2経由で活性化されると考えられる。p38MAPキナーゼ経路の上流は明らかでないが、Rhoファミリーに属するRac, Cdc42などが関与している可能性がある。また今回の結果より、この経路の一部はEGFRを介していることが示唆される。 今後喘息リモデリングモデルのマウスにおいて、in vivoの検討を行う予定である。
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