2004 Fiscal Year Annual Research Report
気道感染症における炎症誘導因子としての緑膿菌線毛蛋白の機能解析
Project/Area Number |
15591060
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
那須 勝 大分大学, 医学部, 教授 (70039874)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平松 和史 大分大学, 医学部, 助手 (80301381)
門田 淳一 大分大学, 医学部, 助教授 (50233838)
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Keywords | 緑膿菌 / 炎症 / 線毛蛋白 / 気道感染 / サイトカイン |
Research Abstract |
緑膿菌が引き起こす炎症には様々な菌体成分が関与しているが、緑膿菌が有する線毛も炎症を誘導することが報告されている。私たちの検討においても超遠心法で緑膿菌線毛を精製後、SDS-PAGEゲルより抽出した線毛蛋白をBalb/cマウス気道内に投与し、経時的な肺洗浄液中の細胞数あるいは各種サイトカイン濃度の測定を行ったところ、線毛蛋白投与群では投与24時間後までは好中球が多く認められ、その後リンパ球が優位となり炎症が惹起されていることが考えられた。さらに肺洗浄液中のTNF-αやMIP-2などのサイトカイン濃度も上昇していた。これらの結果は線毛蛋白がらせん状に重合して形成される線毛だけでなく、線毛蛋白自体にも炎症を誘導する能力があることを示している。緑膿菌標準株PAO-1株の線毛蛋白は143のアミノ酸より構成されているが、炎症誘導に直接関与しているアミノ酸領域を検索するために、アミノ残基番号1-20、11-30、21-40、31-50、41-60、51-70、61-80、71-90、81-100、91-110、101-120、111-130、121-143の計13のペプチドを合成した。これら合成ペプチドをBalb/cマウス気道内に投与し、24時間後に肺洗浄を行い、洗浄液中の細胞数、細胞分類さらにはTNF-αなどのサイトカイン濃度の測定を行った。線毛蛋白自体を投与した際に検出されたような細胞数の増加や好中球などの炎症細胞の増加を認めるペプチドは存在しなかった。しかしながら41-60、101-120アミノ残基ペプチド投与群では肺洗浄液中の好中球の増加とTNF-α濃度の上昇を認めていた。この結果は、これらの領域が炎症の誘導に重要な役割を果たしていることを示唆し、これら領域と特異的に結合する抗体を作成することができれば、緑膿菌による気道あるいは肺実質の炎症を抑制できる可能性を示している。
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