2004 Fiscal Year Annual Research Report
自己免疫疾患における免疫抑制性分子の機能解析とその制御
Project/Area Number |
15591068
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
中島 敦夫 日本医科大学, 医学部, 助教授 (10291725)
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Keywords | 自己免疫疾患 / 免疫抑制性分子 / TRAIL / in vivo imaging / 関節リウマチ |
Research Abstract |
申請者は平成16年度科学研究費をもとに以下の結果を得た。免疫抑制性の細胞表面分子であるCTLA4,PD-1,TRAILの遺伝子を導入したII型コラーゲン特異的T細胞ハイブリドーマを作製し、関節リウマチモデルであるコラーゲン誘導関節炎にそれらの細胞を移入した。関節炎発症前に細胞移入したところ、CTLA4,PD-1,TRAILの遺伝子をもたないT細胞ハイブリドーマの移入では、関節炎は無処置とくらべ、ほぼ同様な関節炎が惹起された。またCTLA4,PD-1,TRAILの遺伝子を導入したミエリン塩基性特異的T細胞ハイブリドーマでも同様に効果を認めなかった。しかし、CTLA4,PD-1,TRAILの遺伝子を導入したII型コラーゲン特異的T細胞ハイブリドーマの移入により、関節炎は有意に抑制された。病理学的には炎症細胞の減少ならびに滑膜細胞の増殖抑制が観察された。そこでTRAILの遺伝子を導入したT細胞ハイブリドーマの移入の系で詳細なメカニズムを検討した。TRAILは活性化T細胞にアポトーシスを誘導することが知られていることから、関節炎惹起性T細胞がTRAIL発現T細胞ハイブリドーマにより減少した可能性があると考え、末梢血中および所属リンパ節中T細胞の増減を検討したところ、リンパ節中T細胞の減少が観察された。しかし、コントロールとして用いたTRAIL発現ミエリン塩基性特異的T細胞ハイブリドーマにおいても同様の効果が観察された。このことから、リンパ節中T細胞の減少は非特異的なものと考えられた。次にT細胞の増殖抑制反応を検討したところ、II型コラーゲンもしくはミエリン塩基性特異的TRAIL発現T細胞ハイブリドーマいずれにおいてもT細胞の増殖反応は抑制され、この結果はリンパ節中T細胞の減少を反映するものと考えられた。そこでin vivo imaging systemを用いて検討をおこなった。その結果、ミエリン塩基性特異的T細胞は細胞移入後、すみやかに肺に集積し、その後所属リンパ節ならびに肝臓に集積したが、関節への集積はみられなかった。しかし、H型コラーゲン特異的T細胞ハイブリドーマでは、細胞移入後、すみやかに肺に集積し、その後所属リンパ節に集積するのみならず、炎症関節に特異的に集積した。これはマーカー分子であるGFPの病理学的検討でも支持される結果をえた。さらにTINELによる病理学的検討では、炎症関節中のアポトーシス陽性細胞は、コントロールとくらべ、有意な差はみられなかったことから、TRAIL発現II型コラーゲン特異的細胞の関節内集積による、TRAIL-TRAIL受容体を介した炎症滑膜ならびに炎症細胞のアポトーシスではないと考えられた。以上の結果より、TRAIL-TRAIL受容体をかいした、炎症細胞ならびに滑膜細胞細胞周期抑制}こよる効果であることが示唆された。今後CTLA4,PD-1による関節炎抑制効果を検討する予定である。
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Research Products
(5 results)