2004 Fiscal Year Annual Research Report
関節リウマチに伴う骨粗鬆症治療戦略確立のための探索的研究-COX-2ノックアウトマウスを用いた解析-
Project/Area Number |
15591074
|
Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
岡田 洋右 産業医科大学, 医学部, 講師 (80333243)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 良哉 産業医科大学, 医学部, 教授 (30248562)
|
Keywords | FGF-2 / 関節リウマチ / 骨芽細胞 / 破骨細胞 / 骨吸収 / ヘパラン硫酸プロテオグリカン / RANKL / ICAM-1 |
Research Abstract |
【目的】関節リウマチ(RA)は続発性骨粗鬆症をきたす。prostaglandins(PGs)合成酵素であるcyclooxygenase(COX)-2は、破骨細胞と骨芽細胞の双方に作用し骨代謝調節に於いて中心的役割を担う。一方、fibroblast growth factor(FGF)-2は、強力な骨代謝調節因子として知られるが、PG誘導活性も有する。FGF-2は、RA関節滑膜線維芽細胞(RASF)より産生されRA病態の中心的分子である。FGF-2シグナル伝達において不可欠なco-receptorとして機能するヘパラン硫酸プロテオグリカン(HSPG)は、RASF上に強く発現しており、この過剰発現したHS糖鎖の撹乱による骨代謝への効果を検討した。【方法・結果】(1)FGF-2はRASFの増殖を増強し、RASF上のRANKLとICAM-1の発現を増強した。(2)FGFR-1発現はRAと変形性関節滑膜線維芽細胞(OASF)で同程度だが、HSPGはRASFで強く発現していた。(3)滑膜でのHSPG発現は、OAでは血管周囲だが、RAでは滑膜細胞自体にも強く分布していた。(4)RASF上のHSをヘパリナーゼ等で酵素処理すると、FGF-2依存性の細胞増殖およびRANKL発現誘導は阻害された。(5)末梢血単核球とRASFの共培養での破骨細胞形成は、FGF-2中和抗体、ICAM-1抗体、OPGの添加、およびRASF上のHS酵素処理により著明に抑制された。(6)グリコサミノグリカンの人工的伸張開始因子であるβ-D-xylosideを改変し増殖因子の結合性を低下させるXyl-NapOH(D)を用いて、HS糖鎖の進展を阻止しFGF-2とHS糖鎖の結合を阻害すると、細胞増殖と破骨細胞形成が阻害された。 【考察】FGF-2は滑膜増殖のみならずRASF上のRANKLとICAM-1の発現誘導を介して破骨細胞形成促進、続発性骨粗鬆化を引き起こす。RASFに特異的に発現するHSPGは、FGF-2シグナル伝達を制御しているが、現在までFGF-2のco-receptorであるHS糖鎖に着眼したRA制御の報告は無い。ヘパリナーゼ等より毒性が少ないXyl-NapOH(D)によるHS糖鎖撹乱は、細胞増殖と破骨細胞形成を抑制しRA続発性骨粗鬆化抑制の有力な治療制御標的である。
|
Research Products
(7 results)