2005 Fiscal Year Annual Research Report
関節リウマチに伴う骨粗鬆症治療戦略確立のための探索的研究
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15591074
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
岡田 洋右 産業医科大学, 医学部, 講師 (80333243)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 良哉 産業医科大学, 医学部, 教授 (30248562)
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Keywords | M-CSF / 関節リウマチ / 骨芽細胞 / 破骨細胞 / 骨吸収 / 血管内皮細胞 / RANKL / Gene Chip |
Research Abstract |
【目的・背景】関節リウマチ(RA)は、多関節滑膜炎を主病変とする全身性自己免疫疾患で、関節破壊、傍関節及び全身性骨粗鬆症を来たす。RAで滑膜が異常増殖し新生血管を伴って肉芽腫様となり、滑膜マクロファージが破骨細胞に分化し骨破壊をきたす。しかし、破骨細胞形成における血管内皮細胞の関与については不詳であり、内皮細胞機能も臓器により異なる。RA滑膜由来血管内皮細胞(RAEC)がM-CSFを高度に産生するという特徴を持ち、RAECがRA炎症部における破骨細胞の分化・誘導に関与することを明らかにした。 【方法・結果】(1)Gene Chipにおける各種臓器由来血管内皮細胞での発現遺伝子解析から、RAECにおいてのみM-CSFの高発現が認められた。(2)RA患者滑膜より得たRAECにおけるM-CSFのmRNA高発現を認めた。(3)各種臓器由来血管内皮細胞およびRAECを培養するとRAEC培養上清中でのみM-CSFが増加していた。(4)RA患者由来滑膜線維芽細胞上のRANKLは強く発現していた。(5)RAECを敷いたtranswell上で末梢血単核球を共培養すると単球の著明な遊走が誘導された。(6)この経血管内皮遊走した単球にRANKLを添加するとTRAP陽性多核細胞形成が誘導された。(7)Transwell chamber上層にRAECを下層に末梢血単核球およびRA線維芽細胞を添加した共培養系において破骨細胞形成が誘導され、M-CSF中和抗体添加により抑制された。 【考察】今回の結果より、通常の慢性炎症部では形成されない破骨細胞が、RA滑膜炎症部でのみ形成される機序として、RAでは増殖したRAECからM-CSFが高産生され、破骨細胞前駆細胞である単球を呼び込み、RANKLを発現しているRA滑膜線維芽細胞の支持のもとで、破骨細胞の分化・成熟がもたらされるというRAに特徴的な悪循環機構の存在が明らかとなった。
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Research Products
(3 results)