2003 Fiscal Year Annual Research Report
急性前骨髄性白血病のATRA耐性におけるキメラ遺伝子変異の多様性と分子病態の研究
Project/Area Number |
15591081
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
今泉 益栄 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (40191895)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 邦裕 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (20344674)
佐藤 篤 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (20292336)
菅原 明 東北大学, 医学部附属病院, 講師 (90270834)
田中 高志 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (10292335)
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Keywords | 急性前骨髄球性白血病 / 変異PML-RARα / ATRA耐性 / 分子標的療法 / アポトーシス |
Research Abstract |
[目的]生理的活性ビタミンAであるレチノイン酸(以下、ATRA)による急性前骨髄球性白血病(以下、APL)の分化誘導療法において、ATRA標的分子であるPML-Retinoic acid receptor-αキメラ蛋白(PML-RARα)の獲得変異性変異がATRA耐性メカニズムの一つであり、臨床上も難治性APL患者に認められる。しかし、このPML-RARαの獲得性変異が細胞レベルでどの様にATPA感受性に関与するかは十分解明されていない。本研究では、変異PML-RARα(Arg611Trp)を獲得したATRA耐性APL患者より樹立されたAPL細胞株(UF-1)を用いて、UF-1のATRA感受性における変異PML-RARαの役割とそのATRA応答性を検討した。 [方法]細胞レベルのATRA感受性は、UF-1細胞をATRA存在下で培養し、細胞形態、CD11b,、NBT還元能、TUNEL法によるアポトーシスを経時的に検討した。同時にPML-RARα、RARαおよびRARβをWestern blot法により検討した。さらに、野生型および変異PML-RARαのin vitro ATRA依存性転写活性をルシフェラーゼ法により検討した。 [結果]UF-1細胞は【less than or equal】100nM ATRAに対しては全くATRA感受性を示さなかった。しかし、1μM ATRAに対しては培養4日間はATRA不応であったが、ATRA刺激4日目以降では細胞増殖の抑制、Viabilityの低下、NBT還元能の増加が認められ、形態学的には分化する細胞とApoptotic bodyを有する細胞が独立して存在しその割合が除々に増加した。さらに、1μM ATRA存在下に4日間培養したUF-1のPML-RARα蛋白発現は著明に低下し、代ってRARβの発現が増加した。一方、変異PML-RARαのATRA依存性転写活性は野生型に比較して低下し、ATRA応答性は著明に障害されていた。 [考察]ATRA刺激4日以内ではUF-1のATRA感受性は著しく障害され、このことは変異PML-RARαの分子レベルにおけるATPA不応性と一致する結果であった。一方、1μM ATRA刺激4日目以降にみられたUF-1のATRA感受性が回復するメカニズムは、変異PML-RARα蛋白の発現低下によると考えられた。さらに、ATRA刺激によるUF-1細胞の分化と独立したアポトーシス誘導にはRARβ蛋白の発現が深く関与していると推測された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Sato A, Imaizumi M et al.: "Alteration in the cellular response to retinoic acid of a human acute promyelocytic leukemia cell line, UF-1, carrying a patient-derived mutant PML-RARα chimeric gene"Leukemia Reserch. (in press). (2004)
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[Publications] Imaizumi M: "Differentiation-induction therapy with all-trans retinoic acid (ATRA) for acute promyelocytic leukemia : Involvement of mutant PML-RAR_in ATRA resistance"Recent Res Devel Haematol. (in press). (2004)
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[Publications] Xu G, Nagano M et al.: "Frequent mutations in the GATA-1 gene in the transient myeloproliferative disorder of Down's syndrome"Blood. 102. 2960-2968 (2003)
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[Publications] Kudo Y, Minegishi M et al.: "The absolute number of peripheral blood CD34+ cells predicts a timing for apheresis and progenitor cell yield in patients with hematologic malignancies and solid tumors"Tohoku J Exp Med. 199. 111-118 (2003)