2004 Fiscal Year Annual Research Report
急性前骨髄性白血病のATRA耐性におけるキメラ遺伝子変異の多様性と分子病態の研究
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15591081
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Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
藤井 邦裕 東北大学, 病院, 助手 (20344674)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 明 東北大学, 病院・講師 (90270834)
田中 高志 東北大学, 病院・助手 (10292335)
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Keywords | 急性前骨髄性白血病 / PML / RARα / MRDモニタリング / FLT3遺伝子 |
Research Abstract |
我々は、日本の小児白血病研究グループと共同研究を行いAPLのMRDモニタリングと病態に関わる遺伝子変異の関連を研究した。MRDモニタリングではATRA治療が奏功したことから再発を予見するに至らなかったものの治療方法によりMRD陽性の出現頻度に差があることを学会報告(今泉益栄、2002小児血液学会)し、次期治療プロトコール(AML05 APLプロトコール)の作成に大きく寄与した。またPML/RARαのATRA結合部位に遺伝子変異を持つAPL細胞株UF-1は、薬理学的濃度の1μM濃度のATRA濃度のみ分化誘導しアポトーシスする特異な病態を持ち、転写活性レベルから転写活性が低下しかつドミナントネガティブ作用を有し耐性化することを細胞レベルと遺伝子導入による分子レベル双方から明らかにした。(藤井邦裕、菅原明)これはAPLのATRA耐性化の機序の一部にPML/RARαのATRA結合部位(E-domain)変異が関わる病態を強く示唆する。また最近の知見からAMLの予後不良因子とされるFLT3遺伝子の変異がAPLでも高率に合併していることが明らかとなった。FLT3遺伝子は初期造血の重要なFLT ligandの受容体遺伝子であり下流のチロシンキナーゼの異常がAMLの病態の予後不良因子となり得るとされる。我々の解析から小児APL症例において、特に初発時の白血球数が多い症例、初発時の年齢が高い症例、PML/RARαのshort formを有する症例に有意にFLT3遺伝子のInternal tandem duplication(ITD)変異が合併していることが明らかとなった。これはPML/RARα、PML、RARα各遺伝子の変異だけでなく転写因子や共役因子の異常も病態に関与することを新たに示唆している。また一部のAPL症例でFLT3遺伝子のAsp835 mutationがあり、ATRA反応性が乏しく寛解遅延につながった病態を呈した症例を経験し、ATRA結合部位の遺伝子変異と並ぶATRA反応性を規定する因子となる事などを、今年度科研費を用い新たに示した。(藤井邦裕、田中高志)
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