2003 Fiscal Year Annual Research Report
骨髄からの肝幹細胞の分離と小児代謝性肝疾患に対する細胞移植治療
Project/Area Number |
15591082
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
寺田 邦彦 秋田大学, 医学部, 助教授 (60197796)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉山 俊博 秋田大学, 医学部, 教授 (00127242)
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Keywords | 骨髄 / 肝幹細胞 / パーコール密度勾配遠心 / 代謝性肝疾患 / 細胞移植 / 細胞分化 |
Research Abstract |
[目的]肝移植に代わる治療法として細胞移植治療が考慮されている。最近、骨髄細胞中に肝細胞に分化できる幹細胞が存在することが報告されているが、肝細胞に分化可能な骨髄細胞の数は非常に少なく、このような細胞を分離するには大規模な設備が必要である。さらに、一度に多くの個体へ移植できるように増殖させることは困難である。そこで、本研究では以下の二つを目的とした。 (1)申請者らがこれまでに確立してきた肝臓から肝幹細胞を分離する方法を発展させ、骨髄細胞より多分化能を保持した肝幹細胞を効果的に分離できる方法を開発する。 (2)分離した肝幹細胞が短期間で増殖できる条件を見つけだし、さらに組織工学的手法を応用して移植に適した状態に加工し、小児代謝性肝疾患に対して充分な治療効果が期待できる幹細胞移植法を確立する。 [方法]健常ラット大腿骨より骨髄細胞を採取後、パーコール密度勾配遠心法を用いて、比重1.077より軽い分画中の細胞を分離した。得られた細胞をHGFを加えた培地で培養、あるいは肝星細胞と共培養した。肝細胞の分化マーカーであるアルブミンの発現をPCR法で検討した。 [結果]分離した骨髄細胞を低接着性培養皿に播種したところ、培養1日目から培養液中に浮遊する細胞隗が認められた。この細胞隗を回収してHGFを加えた培地で培養したが、細胞を維持できなかった。一方、肝星細胞と共培養したところ、細胞隗は培養3週間を経ても維持できた。次に、この細胞隗からRNAを抽出してラットアルブミンに特異的なプライマーを用いてRT-PCR法を行ったところ、予想された長さのcDNA断片が検出でき、確かにアルブミンが発現していることが認められた。以上のことから、骨髄細胞中には肝細胞の性質を持った細胞が存在し、これをin vitroで培養できることがわかった。今後は、このような性質を持った細胞の効率的増殖法を見出し、移植実験に利用していくことを考慮している。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Minamiya Y, et al.: "Antithrombin III diminishes production of oxygen radical in endotoxin-infused rat lung"Shock. 21. 139-143 (2004)
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[Publications] Miura K, et al.: "Epimorphin is involved in differentiation of rat hepatic stem-like cells through cell-cell contact"Biochem.Biophys.Res.Commun.. 311. 415-423 (2003)
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[Publications] Nakata A, et al.: "Establishment and characterization of a spontaneously immortalized mouse ameloblast-lineage cell line"Biochem.Biophys.Res.Commun.. 308. 834-839 (2003)
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[Publications] Okumura K, et al.: "Salivary gland progenitor cells induced by duct ligation differentiate into hepatic and pancreatic lineages"Hepatology. 38. 104-113 (2003)
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[Publications] Fu Y, et al.: "Mutation and expression of the p53 gene during chemical hepatocarcinogenesis in F344 rats"Biochim.Biophys.Acta. 1628. 40-49 (2003)
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[Publications] Kameda T, et al.: "Analysis of the cellular heterogeneity in the basal layer of mouse ear epidermis"Exp.Cell Res.. 283. 167-183 (2003)