2004 Fiscal Year Annual Research Report
脳の髄鞘形成障害の発症機序に関する研究-ミュータントマウスに対する磁気共鳴画像法
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15591084
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Research Institution | Ibaraki Prefectural University of Healty Sciences |
Principal Investigator |
岩崎 信明 茨城県立医療大学, 附属病院, 助教授 (70251006)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松村 明 筑波大学, 人間総合科学研究科, 教授 (90241819)
本間 一弘 産業技術総合研究所, 人間福祉医工学研究部医用計測グループ, グループリーダー (80357970)
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Keywords | shivererマウス / 磁気共鳴画像法 / ミエリン塩基性蛋白 / 髄鞘形成 / MBP / ミュータントマウス |
Research Abstract |
マウスの磁気共鳴画像法の開発 マウスの大脳の鮮明なMR画像を得るために磁場の均一性と高い信号強度が得られる22mmのバードゲージ型コイルを開発した。動物用磁気共鳴装置はブルカー社BIOSPEC BMT24/40 2.4Teslaを用いた。脳梁構造を鮮明に描出することの可能なマウス用のSpin echo法によるパルスシーケンスを開発した。ミエリン塩基性蛋白に異常のあるshiverer mouseに対してT1強調画像、T2強調画像を撮像し、T1値、T2値を算出した。heterozygous mutant(mbp+/-)ではwild typeに比較して明らかな差異はみられなかった。homozygous mutant(mbp-/-)では皮質白質の信号強度の差異は低下し、白質の質的変化を検出することができた。 shiverer mouseの病理学的検索 shiverer mouseのMBP遺伝子をPCR法で検出し遺伝形質が評価された。mbp+/-、mbp-/-並びにwild typeの12週齢マウスについて、脳の病理学的検索を行った。抗myelin basic protein(MBP)抗体はmbp-/-では染色されず、mbp+/-はwild typeと同様に染色された。電子顕微鏡を用いた超微細構造では、mbp-/-はごく一部にミエリン形成がみられるものの、主に軸索と間質からなる構造で、周期線の形成障害もみられた。mbp+/-ではwild typeと同様に周期線の形成障害はみられなかった。 結論 shiverer mouseのheterozygous mutantはMBP遺伝子異常が想定されているヒトのモデルである18番染色体長腕欠失(18q-)症候群とは異なり、MRIでの異常はみられなかった。 今回の研究において遺伝子異常を有するshiverer mouseマウスの脳の異常を検出した。このことは遺伝子改変動物が多数作成されているマウスの脳の磁気共鳴画像によってin vivoにおける脳の解析をおこない、遺伝子の発現機序や病態生理の解明に貢献できる可能性を示した。 今後、新しい撮像法である拡散画像法をマウスMRIに導入しこの研究方法のさらなる発展をめざす。
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