2004 Fiscal Year Annual Research Report
小児期非アルコール性脂肪性肝災の研究:その成因と肝病変の進展に関与する因子の解明
Project/Area Number |
15591108
|
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
長田 郁夫 国立大学法人鳥取大学, 医学部, 講師 (50252846)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 潤 国立大学法人鳥取大学, 医学部附属病院, 助手 (90362889)
岡本 学 国立大学法人鳥取大学, 医学部, 助手 (40335518)
神崎 晋 国立大学法人鳥取大学, 医学部, 教授 (90224873)
|
Keywords | NASH / 脂肪沈着 / 進行性肝病変 / central pattern / diffuse pattern |
Research Abstract |
非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)は、肝の脂肪変性に炎症細胞浸潤、線維化を伴う疾患で、脂肪肝の存在の基に、他の要因が関与することにより発症すると考えられている。今までは成人に発症するものとされ、発症の危険因子は女性、肥満、糖尿病などが考えられている。小児期のNASHの報告は限られたものしかなく、肥満、耐糖能異常、肝硬変例が報告されているが、その特徴はまだ明らかにされておらず、肝組織像の詳細な検討はなされていない。本年度は小児NASHの症例8例の臨床的特徴を検討し、組織像を検討した。 対象例は8〜13歳(男児7例、女児1例)で、組織学的にNASHと診断した症例である。なお、女児の1例はAlstrom症候群と診断した症例である。各症例のBMI(body mass index),体脂肪率、血清ALTを経時的に測定し、経過中に経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)を施行した。対象例はいずれも中等度以上の肥満、黒色表皮腫を呈し、肥満度、体脂肪率が減少した3例で肝機能が正常化した。OGTTは正常型3例、境界型3例、糖尿病型1例で、IRI基礎値は全例高値を呈した。血清レプチン値は5例で高値であった。ALT値は50 IU/L前後が持続する症例から200-400 IU/Lの周期的変動を認める症例などさまざまであったが、経過は肥満度、体脂肪率、血清フェリチン値がよく相関した。Alstrom症候群症例は肥満症ではないものの、ALT高値、高インスリン血症を呈した。組織学的所見では、肝細胞の中等度〜高度の脂肪変性、門脈域の炎症細胞浸潤と軽度〜中等度の線維化を認めたが、肝線維化の程度と相関する因子は見いだせていない。小児期においてもNASH例は存在し、組織所見は軽度〜中等度であったが、今後進行性肝病変を呈する可能性もある。小児期NASH症例の背景因子として、高インスリン血症が関与すると考えられる。肝機能の改善には体脂肪率、肥満度の減少が有用な指標になる。今後症例の増加とともに、組織型と長期経過、治療効果などの検討を要する。
|
Research Products
(4 results)