2003 Fiscal Year Annual Research Report
小児悪性腫瘍に対する免疫療法の研究:分子生物学的手法を用いた腫瘍特異抗原の同定
Project/Area Number |
15591118
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
百名 伸之 琉球大学, 医学部, 助教授 (60244323)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
真部 淳 東京大学, 医科学研究所・細胞療法研究分野, 助手 (20292849)
粟田 久多佳 琉球大学, 医学部, 教授 (00325862)
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Keywords | 小児悪性腫瘍 / 免疫療法 / 腫瘍抗原 |
Research Abstract |
本研究の目的は腫瘍特異抗原の同定であるが、そのためには大量の腫瘍細胞の培養が必要である。そこでまず小児固形腫瘍の腫瘍組織から初代培養を試みた。 方法:腫瘍生検あるいは摘出時に得られた組織の一部を1mm角程度に細切し、Collagenaseで数時間消化し、その後RPMI 1640で洗浄し、10%FBS RPMI 1640にて37℃、5%CO_2で培養した.神経芽腫ではEngelbreth-Holm-Swarm-Natrixで表面処理したプラスチックフラスコを用い、その他は通常の組織培養皿を用いた。約1週間から2週間ほどで細胞増殖が見られ、細胞が十分に増えた時点でTrypsin-EDTAで継代を行った。増殖細胞の同定は、神経芽腫では、特異的抗体であるGD2抗体を用いてFlowcytometryで行った。Ewing肉腫では、MIC2蛋白免疫染色、およびPCR法でEWS-Fli1キメラ遺伝子発現を検出した。 結果:当院で診断治療を行った神経芽腫5例、Ewing肉腫1例、Wilms腫瘍1例より、腫瘍摘出あるいは生検時に得られた組織の一部を検体とした。全例で細胞の増殖が見られ、神経芽腫の1例以外では1から3か月にわたって3、4回の継代が可能であった。形態的には神経芽腫様、Ewing肉腫では突起をもった多角形の神経細胞様の細胞、Wilms腫瘍では紡錘形の線維芽細胞様の細胞が増殖していた。しかし神経芽腫では4例ともGD2が陰性であった。Ewing肉腫ではMIC2蛋白は陽性であったがEWS-Fli1キメラ遺伝子は検出されなかった。 考察:神経芽腫、Ewing肉腫、Wilms腫瘍の腫瘍組織より細胞増殖、継代培養が可能であった。しかし正常線維芽細胞が混入している可能性があり、より腫瘍特異的な培養法の確立が必要である。
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