2004 Fiscal Year Annual Research Report
小児悪性腫瘍に対する免疫療法の研究:分子生物学的手法を用いた腫瘍特異抗原の同定
Project/Area Number |
15591118
|
Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
百名 伸之 琉球大学, 医学部, 助教授 (60244323)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
粟田 久多佳 琉球大学, 医学部, 教授 (00325862)
|
Keywords | 小児悪性腫瘍 / 腫瘍抗原 / 免疫療法 |
Research Abstract |
【目的】腫瘍特異抗原の同定のためには大量の腫瘍細胞の培養が必要であり、まず小児固形腫瘍の腫瘍組織から初代培養を試みた。さらに同組織から腫瘍浸潤リンパ球の増殖を試みた。 【方法】診断、治療目的で得られた腫瘍組織の一部を細切し、コラゲナーゼで消化した後5%CO_2、37℃で培養した。約1〜2週間で細胞増殖がみられたら、トリプシンで継代を行なった。増殖細胞の同定は神経芽腫では抗GD2抗体を用いてフローサイトメトリーで行なった。Ewing肉腫では、MIC2蛋白免疫染色およびEWS-Fli1キメラ遺伝子発現をPCRで検出した。一方リンパ球培養は、細切組織をIL-2を加えた培養液中で5%CO_2、37℃で培養した。 【結果】当院で診断、治療を行なった神経芽腫5例、Ewing肉腫1例、Wilms腫瘍1例について初代培養を試みた。全例で細胞増殖が得られ、神経芽腫の1例を除いて1〜3か月にわたり3〜4回の継代が可能であった。しかし、神経芽腫では4例ともGD2が陰性であり、Ewing肉腫ではMIC2蛋白は陽性であったが、EWS-Fli1キメラ遺伝子検出されなかった(原発巣ではキメラ陽性)。一方、リンパ球培養では、組織からの増殖は得られなかった。 【考察】臨床の腫瘍組織からの継代培養は可能であるが、正常細胞の混入が避けらない。また培養中に抗原性が変化するおそれもある。また組織からリンパ球は増殖せず、腫瘍抗原に感作されたリンパ球は同定できなかった。以上から、本法を用いて腫瘍抗原を同定することは困難であると思われた。 以上の結果をふまえて、現在は樹立された腫瘍細胞株を用い、担がん小児患者の末梢血から増殖させたIL-2反応性のリンパ球が、腫瘍細胞を認識、活性化されるかどうかを検討している。これにより、腫瘍共通抗原の同定が期待される。
|