2004 Fiscal Year Annual Research Report
発達期大脳皮質体性感覚野可塑性におけるコリン作動性神経系の役割
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15591122
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
西村 陽 京都府立医科大学, 医学研究科, 助手 (00360040)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山添 一郎 京都府立医科大学, 医学研究科, 助手 (30336739)
森本 昌史 京都府立医科大学, 医学研究科, 講師 (10285265)
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Keywords | 大脳皮質 / 神経可塑性 / コリン作動性神経系 / バレル / 体性感覚野 / ダウン症候群 / SSRI / paroxetine |
Research Abstract |
マウス前脳基底部コリン作動性神経系起始核を新生仔期に障害すると、大脳皮質の一過性のコリン作動性神経系の消失と、大脳皮質神経細胞構築の永久的な改変、認知能力の永続的な変化を来すことが我々の以前の研究によって明らかになってきた。マウス前脳基底部コリン作動性神経系起始核を新生仔期に障害すると、大脳皮質可塑性に影響を及ぼすかどうかについて、ゲッ歯類の体性感覚路のバレル・システムをモデルに用いてバレル可塑性を調べた。また、ダウン症候群のモデル動物のTs65Dnマウスの大脳皮質の生後発達に異常がないかどうかについても検討した。チトクロームオキシダーゼ染色で生後8日目のマウスで、新生仔期の前脳基底部コリン作動性神経系起始核の電気的焼灼障害により、ヒゲC列のみを毛根から引き抜く障害を与え、その結果、C列に相当する大脳皮質バレルの面積が減少し、隣接するD或いはB列に相当するバレルの面積が増大するというバレル可塑性に影響があるかどうかを調べた。結果は、新生仔期の前脳基底部コリン作動性神経系起始核の障害により、大脳皮質におけるAchE染色性が低下し、コリン作動性神経線維の一過性の消失が確認された。それと同時に、バレル可塑性は低下した[Nishimura, et al.,2002]また、生後6か月には前脳基底部コリン作動性神経系起始核のニューロンが変性しはじめるTs65Dnマウス[Holtzman, et al.,1996]のバレルの面積が低下していることが判明した。これらの結果,コリン作動性神経系入力がバレル皮質の発達と可塑性に重要な役割を演じていると言える。さらに、SSRIの一種であるparoxetineを周産期に投与することで、ラットバレルの形成が変化するが、酵素組織化学、HPLC法を用いての分析化学、などの方法を駆使し、現在、新たな展開をしつつある。
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