2004 Fiscal Year Annual Research Report
定量PCRによる造血幹細胞移植に伴う播種性アデノウイルス感染症の早期診断
Project/Area Number |
15591123
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
森本 哲 京都府立医科大学, 医学研究科, 助手 (30326227)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 育代 京都府立医科大学, 医学研究科, 助手 (00381939)
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Keywords | Adenovirus infection / Hematopietic Stem cell transplantation / Polymerase chain reaction / Real-time PCR / Hemorrhagic cystitis / Pneumonitis |
Research Abstract |
非血縁者間骨髄移植後、出血性膀胱炎から腎不全・多臓器不全で亡くなった症例を経験した。この例の血液・尿を用い、後方視的にReal-time PCRによりアデノウイルス(AdV) DNA定量したところ、尿中AdV DNA量増加ののち血中AdV DNA量の増加がみられ、病勢とAdV DNA量が相関していることが明らかとなった。この例は重度の急性GVHDを伴っており、それに対して用いたステロイドパルス療法がAdV感染増悪の誘引になった可能性があった。また、多臓器不全として閉塞性肝障害を伴ったが、GVHDによる肝障害との鑑別は臨床上困難であった。 呼吸不全を伴う重症肺炎に合併した血球貧食症候群の患者を経験した。血清抗体価では病原体を確定できなかったが、肺生検組織を用いたAdV DNA定量により、AdV肺炎と確定し得た。 7人の造血幹細胞移植患者の血中・尿中のAdV DNA量を後方視的に経時的に定量した。ウイルス定量により、このうち3人が播種性AdV感染症と確定診断し得た。これらの患者はいずれも、移植後1-2週で尿中AdV DNAが陽性となり、4-6週で血中ウイルス量10^5コピー/ml以上となった。移植前に血中AdV DNAを定量できた5人の患者のうち2人が10^3コピー/ml以上を示したが、この2人はいずれもその後播種性感染を引き起こした。 AdV抗原が陽性となった移植後播種性AdV感染症の患者において、AdV定量PCRを試みたが検出できず、AdV7型特異的プライマーではPCR陽性であった。 AdV DNA定量は播種性アデノウイルス感染症の早期診断に有用であるが、AdVは変異が多くプライマーの種類によってはAdV感染症であっても陽性に出ないことがあり、PCR診断には注意を要する。
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Research Products
(2 results)