2004 Fiscal Year Annual Research Report
早期産児臍帯血中の血管内皮前駆細胞およびリンパ管内皮細胞を用いた臨床応用の可能性
Project/Area Number |
15591130
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
郡司 勇治 自治医科大学, 医学部, 講師 (90245043)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 忠彦 自治医科大学, 医学部, 助手 (20271223)
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Keywords | 血管内皮前駆細胞 / リンパ管内皮前駆細胞 / 早期産児臍帯血 / 血管新生 / リンパ管新生 / VEGFR3 |
Research Abstract |
1 早期産児臍帯血の血管内皮前駆細胞の生物学的特性昨年度に引き続いて、早期産、正期産臍帯血の血管内皮前駆細胞(EPC)の割合を検討するため、CD34、CD133、VEGFR2、陽性細胞の割合について検体数を追加して、37週未満の早期産群、37週以後の満期産群の臍帯血を用い検討した。表面抗原の検討では、EPCと考えられるCD133(+)VEGFR2(+)細胞に加へCD34(+)VEGFR2(+)細胞も満期産群(n27)に比較して有意に早期産群(n27)の臍帯血に多く含まれていた(p<0.05)。Fibronectin coated dishの培養系でEPCを反映すると考えられるattached cellの割合の検討では、培養7日目で早期産群では平均165±105個/cm^2のattached celがみられたのに対し、満期産群では104±80個/cm^2と培養系の検討でも早期産群の臍帯血にEPCが多く含まれると考えられた(p<0.05)。つぎに、EPCの骨髄から末梢血中への動員に関与する因子としてVEGFやPIGF、KITリガンドのSCF、CXCR4リガンドのSDF-1α等が知られているが、先ず、臍帯血のVEGF濃度を検体数を追加して測定した。VEGF濃度は早期産群(n50)が307±366pg/ml、満期産群(n22)が20±21pg/mlと有意に早期産群で高値を認めた。これらのことは、早期産児臍帯血中のVEGFが高いこともEPCが多く存在する原因の一つになっている可能性が示唆された。 2 臍帯血中のリンパ管内皮前駆細胞の存在受容体型チロシンキナーゼVEGFR3(Flt4)はそのリガンドのVEGF-Cとともにリンパ管新生に関与すると考えられている。このため本研究では臍帯血にリンパ管内皮前駆細胞が存在するか検討するため、前駆細胞が含まれている可能性の高いCD34、VEGFR3陽性細胞分画の割合をヘルシンキ大Alitalo教授より供与されたVEGFR3抗体を用い37週前後の臍帯血を用い検体数を増やして検討した。CD34陽性細胞分画中のVEGFR3陽性細胞の割合は、早期産群(n13)が57±20%、満期産群(n6)が39±10%で早期産群に多く含まれていた。今後は臍帯血中のVEGF以外のEPC動員サイトカインおよびVEGF-Cの測定を進める。
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