2004 Fiscal Year Annual Research Report
小児思春期糖尿病・肥満における倹約遺伝子と倹約表現型に関する検討
Project/Area Number |
15591131
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
横田 行史 北里大学, 医学部, 講師 (40158366)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野渡 正彦 北里大学, 医学部, 助手 (00208406)
松浦 信夫 聖徳大学, 大学院・人文科学部, 教授 (50002332)
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Keywords | 小児糖尿病 / 小児肥満 / アディポネクチン / アディポネクチン遺伝子 |
Research Abstract |
(1)思春期1型糖尿患者での血中アディポネクチンと血糖コントロール等との関係について 北里大学病院小児科で治療中の1型糖尿病患者のうち、年1回3年以上にわたり経年的に採血を行った27例(男/女7/20、平均16.5±2.5歳、継続採血年数5.6±1.7年)において、年1回採血(HbAlc、アディポネクチン)、身長/体重/BMI、血圧、総および体重あたりインスリン投与量の測定を行い、血中アディポネクチンと糖尿病コントロール状態(HbAlc;良(5例)<7%、7≦可(10例)<9%、9%≦不可(5例))、インスリン投与量、体格指数との関係を、全体及び男女別に検討した。また、男女差についても検討を加えた。アディポネクチン測定は、大塚製薬のヒトアディポネクチンELISAキットを用いた。思春期1型糖尿病患者27例における血中アディポネクチン値は、経年的に低下し、体重・肥満度の増加により低下を認め、その低下は収縮期血圧の増加と関連を認めた。また、インスリン補充が適切と考えられるコントロール良好群では、血中アディポネクチン値の低下を認めず、BMIが低値であった。このことは、思春期1型糖尿病患者においても肥満成人と同様のアディポネクチン値の変動を示し、小児思春期からの血中アディポネクチン値の有用性が示唆された。一方、今回検討した集団は、男女間にアディポネクチン値の差を認めないものの、女児の方が年齢が高く、肥満度が高く、インスリン投与量が少なくてコントロールが悪い集団であった。男女別の検討では、肥満度が低くコントロールが良い男児群でインスリン投与量が多いほど血中アディポネクチン値が高値で、コントロールが良いことが確認された。しかし、女児群では、コントロールが良くても血中アディポネクチン値の高値を認めず、脂肪蓄積の男女差が思春期においても影響している可能性が示唆された。 (2)アディポネクチン遺伝子多型の検討 アディポネクチン遺伝子多型の検討を思春期1型糖尿病患者、小児2型糖尿病、小児肥満患者で行った。検討した遺伝子は、45,276,349,112,164の5部位である。その結果、小児1型糖尿病患者1例、小児肥満2例で、明らかな低アディポネクチン血症を伴う1164T変異で認めた。この遺伝子変異と低アディポネクチン血症を有する患者では、今後のメタボリック症候群への進展に注意深い経過観察が必要と考えられた。
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Research Products
(3 results)