2005 Fiscal Year Annual Research Report
小児期のアレルギー疾患および慢性炎症性疾患における抑制シグナルSmad分子の検討
Project/Area Number |
15591134
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
大塚 宜一 順天堂大学, 医学部, 講師 (90338335)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中尾 篤人 山梨大学, 医学部, 教授 (80317445)
永田 智 順天堂大学, 医学部, 講師 (70266055)
清水 俊明 順天堂大学, 医学部, 助教授 (30260889)
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Keywords | TGF-β / Smad / 新生児の免疫 / 小児慢性炎症性疾患 / プロバイオテイックス |
Research Abstract |
アレルギー疾患や慢性炎症性疾患はTh1とTh2細胞のバランスが崩れるだけでなく、制御サイトカインとしてのTh3細胞が産生するTGF-βおよびそのシグナル伝達の異常が影響していることが示唆される。TGF-βの刺激は、転写因子であるSmad2とSmad3を活性化させSmad4と結合した後、核内に伝達される。一方、負の転写因子であるSmad7はTGF-βのシグナル伝達に必要なSmad3のリン酸化を抑制する。 H16年度は、新生児のTh1およびTh2細胞の発達、Th3細胞が産生するTGF-βおよびその転写因子の発達を解析する目的で、早産低出世体重児を対象に、末梢血単核球のケモカインレセプター(CCR4,CCR5)の発現、サイトカインの産生およびSmad分子の発現を解析した。その結果、出生時にTh1細胞の発現(CCR5)が蛋白レベルでは弱いもののRNAレベルでしっかりと確認され、出生時、細菌感染などに対する免疫応答の準備がすでに整っていることが示唆された。一方、Th2細胞の発現(CCR4)は、出生時は弱いが、生後徐々にその発現がRNAおよび蛋白レベルで増強していくことが確認された。生後、哺乳活動などの抗原刺激を受けるとTh2細胞がより優位に刺激されて行く事が示唆された。サイトカインの検討では、生後1ヵ月の間に血清中IL-4およびTGF-β値が増加する一方、TGF-βのsignaling分子であるSmad2・3分子の発現が増強し、抑制シグナル分子であるSmad7分子の発現が低く抑えられていることから、IgA産生や上皮細胞の発達などに適した環境が整っていることが理解された。 H17年度はさらに、新生児にプロバイオテイックス(Bifidobacterium)を投与し、その効果を検討した。その結果、TGF-βの産生が亢進し、Smad2・3分子の発現が増強する一方、Smad7の発現が抑制されることがわかった。TGF-βはIgA産生や免疫寛容の誘導など新生児期に非常に重要なサイトカインである。Bifidobacteriumを投与することで、TGF-βの産生ならびにシグナル伝達を促進し、アレルギーや慢性炎症性疾患の治療や予防に役立つ可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)