2003 Fiscal Year Annual Research Report
網膜色素変性症を伴う若年性ネフロン癆の責任遺伝子の同定と解析
Project/Area Number |
15591144
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
竹村 司 近畿大学, 医学部, 教授 (40227054)
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Keywords | 若年性ネフロン癆 / Senior-Loken症候群 / Tubulointerstitial Nephritis抗原 / nephroretinin(NPHP4) |
Research Abstract |
若年性ネフロン癆の中には、網膜色素変性症を伴うもの(Senior-Loken症候群:SLS)があり、責任遺伝子として、nephroretinin(NPHP4)が同定された。しかし、SLS患者でも、NPHP4の異常を認めないものもあり、未知の責任遺伝子の存在が推察されている。本症の腎組織では、尿細管基底膜(TBM)上に存在するTIN(Tubulointerstitial Nephritis)抗原(TIN-ag)の染色性の異常が指摘されており、本症の発症にTIN-agの異常が示唆されている。そこで、3家系4名のSLS症候群患者より、末梢血を採取し、フィコールパークにて白血球を分離した後、DNA extraction kitを用いてgenomicDNAを分離精製し、ヒトTIN-ag増幅のための特異的プライマー(5'-ATGTGGACCGGATATAAGATC-3、5'-TTATGGTTCATCAGAACTCGT-3')を用いて、PCR法を施行した。その結果、いずれの症例も末梢白血球でのTIN-agの発現はなく、正常コントロールでも認められなかったことから、腎特異的発現抗原である可能性が示唆された。そこで、腎組織での解析を行った。その結果、1家系の兄妹発症例において、TIN-agの異常を示唆する所見が得られている。すなわち、腎組織から得られたmRNAを用いたRTにより、cDNAを得、PCRを施行したところ、正常腎組織では、TIN-ag遺伝子に相当する1.2kbのPCR産物を得たが、この患者では、このバンドの欠失が確認された。一方、これまでに報告されたNPHP4のhot spot部位での異常は認められなかった。この症例は、抗TIN抗原ペプチド抗体を用いた蛍光抗体法により、TBM上でのTIN-agの発現減弱も確認された。このことから、TIN-ag遺伝子異常は、SLS症候群の発症に関わる新しい責任遺伝子である可能性がある。現在、より広域なプライマーを用いた欠失部位の解析を、nested PCRを用いて解析中である。
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