2003 Fiscal Year Annual Research Report
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15591149
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
桜庭 均 (財)東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 参事研究員 (60114493)
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Keywords | リソソーム病 / ファブリー病 / ポンペ病 / α-ガラクトシダーゼ / α-グルコシダーゼ / 酵母 / 酵素補充療法 |
Research Abstract |
リソソーム病の新規治療薬を作製するため、産業技術総合研究所の協力を得て、酵母の発現系を利用して、リソソーム病の中でも発生頻度の高いファブリー病の酵素薬開発を試みた。これまでに、特定の糖鎖合成酵素遺伝子を修飾した酵母株で、完全ヒト型糖鎖を持つα-ガラクトシダーゼを生産する方法を確立した。この酵素をファブリー病患者由来の培養線維芽細胞の培養中に加えた所、濃度依存的に細胞内酵素活性値の上昇が認められ、0.5microgram/mlの添加により、欠損していた酵素活性は正常域に達した。また、酵素添加後1日で患者細胞内のセラミドトリヘキソシドは減少し、その効果は、1週間以上続いた。この酵素を、ファブリー病モデルマウスに週1回の割合で合計4回に渡り、経静脈投与した。その結果、ファブリー病モデルマウスの肝臓、腎臓、心臓および脾臓に過剰に蓄積していた糖脂質セラミドトリヘキソシドの量が、それぞれ非投与マウスの2%、72%、28%および31%までに減少した。セラミドトリヘキソシドに対するモノクローナル抗体を用いて、これらの臓器組織の間接免疫染色を行った所、いずれにおいても、酵素投与により染色性の著しい減少が示された。また、電顕による病理学的解析を行った所、非投与マウスの腎尿細管内に多数みられた層状封入体の数が著明に減少している所見が得られ、本酵素の有効性が確認された。 続いて、同様の方法で、ポンペ病の責任酵素であるα-グルコシダーゼの発現を試み、培地中に同酵素を分泌する酵母株を得ることに成功した。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Okumiya, T., et al.: "Imbalanced substrate specificity of mutant β-galactosidase in patients with Morquio B disease."Mol.Diag.Genet. 78. 51-58 (2003)
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[Publications] 桜庭 均: "リソソーム病-最近の酵素補充療法の開発状況"医学のあゆみ. 204. 460-461 (2003)
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[Publications] Matsuzawa, F., et al.: "Structural basis of the GM2 gangliosidosis B variant."J.Hum.Genet.. 48. 582-589 (2003)
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[Publications] 桜庭 均: "ファブリー病の診断と最近の酵素補充療法の進歩"SRL宝函. 27. 127-132 (2003)
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[Publications] Sakuraba, H., et al.: "Structural and immunocytochemical studies on α-N-acetylgalactosaminidase deficiency (Schindler/Kanzaki disease)."J.Hum.Genet.. 49. 1-8 (2004)
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[Publications] Kotani, M., et al.: "Cytochemical and biochemical detection of intracellularly accumulated sialylglycoconjugates in sialidosis and galactosialidosis fibroblasts with Maackia amurensis"Clin.Chim.Acta. (in press).
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[Publications] 桜庭 均: "ファブリー病の酵素補充療法"Annual Review腎臓2004. (2004)