2003 Fiscal Year Annual Research Report
新生児仮死に伴う行動障害の発生機序と薬物治療に関する研究
Project/Area Number |
15591156
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
高田 哲 神戸大学, 医学部, 教授 (10216658)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北山 真次 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (10346257)
常石 秀市 神戸大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (10271040)
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Keywords | 新生児仮死 / ラット / 行動障害 / Morris水迷路試験 / 薬物治療 / Caspase |
Research Abstract |
1.新生児仮死に伴う行動障害に関する検討 日齢7日目のSDラットを用いて新生児仮死モデル(RiceのHIモデル)を作成した。水迷路試験法により、水面下プラットフォームに達するまでの遊泳距離、遊泳時間を日齢28日目から5日間連続的に測定することによって空間学習能力を評価し、同日齢の対照群と比較検討した。仮死群では遊泳時間、遊泳距離に明らかな延長が認められ、新生児期の低酸素性脳虚血が空間学習能力の低下をきたすことが明らかとなった。 2.組織学的解析及び生化学的解析 1)行動評価終了後に大脳組織を摘出して、大脳皮質梗塞面積、海馬CA1領域の神経細胞密度を測定し行動評価法の結果との関係を検討したが、有意な相関は認められなかった。行動障害の出現には海馬以外の特定の領域の障害が関与している可能性が示唆された。 2)低酸素性虚血負荷後に経時的に脳を摘出し、免疫組織化学的手法によってCaspase 3陽性細胞の出現時期を検討したところ、負荷後16時間から24時間後に急速に陽性細胞が出現した。また、ウエスタンブロッティング法によっても、Caspase 3陽性細胞の出現時期と一致してピークが確認された。この結果、薬物治療の開始時期は仮死発生後遅くとも16時間以内に設定する必要性が明らかとなった。 3.薬物治療の投与量、投与経路に関する検討 アポトーシス発生に対するCaspase阻害物質(BAF)の効果を、頭蓋内投与に加えて、より臨床応用が簡便な腹腔内投与法を用いて検討を行った。しかし、BAFを大量に腹腔内へ投与した場合には他の臓器への悪影響が見られ、適切な投与時期とともに投与方法の設定が重要であることが判明した。 4.ADHD障害ラットの作成 生後5日目のラットに6-OHDAを脳槽内に投与し、ADHD障害モデルの作成を試行中である。 平成16年度には、これらの研究成果をもとに、BAFなどの薬物投与が低酸素性虚血性脳障害に伴って生じる空間学習障害にどのような治療効果を持つかを検討していく予定である。
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Research Products
(1 results)