2004 Fiscal Year Annual Research Report
低酸素に対する胎仔脳保護機構の分子メカニズム:in vivo光学的測定による解析
Project/Area Number |
15591157
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
坂田 義行 山口大学, 医学部, 講師 (10034927)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 晃教 山口大学, 医学部, 助手 (40363098)
土持 裕胤 山口大学, 医学部, 助手 (60379948)
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Keywords | 低酸素症 / 発達脳 / アポトーシス誘導因子 / カスパーゼー3 / チトクロームc / in vivo光単的イメージング / 上丘 |
Research Abstract |
胎仔脳は低酸素に対して非常に強いことが知られている。それゆえ、胎仔脳は低酸素に対する保護機構をもつことが十分考えられる。私たちはそのメカニズムを明らかにしようとした。本研究は胎仔脳において低酸素負荷後、アポトーシス誘導の最終決定因子であるカスパーゼー3活性を光学的イメージング法により解析し、胎仔脳の保護機構について検討を行った。 妊娠末期(胎齢22日)のラットはウレタン麻酔下(1.2g/kg, i.p.)で、胎仔を帝王切開により母体より取り出した。胎仔脳は固定装置に固定し、上丘表面を露出した。低酸素負荷は臍帯をグリップにより結紮(5-10分間)することによって行った。カスパーゼー3活性は蛍光カスパーゼー3基質をロードし、その蛍光を光学測定装置により継時的に測定した。 臍帯結紮によって、カスパーゼー3活性は一過性に上昇した。臍帯を再還流するとカスパーゼー3活性は急峻に増加し、30分以内に元のレベルに戻った。しかし数例の胎仔において、カスパーゼー3活性が全く回復せず、死亡した。最初の結紮から2時間と3時間後において、臍帯結紮によりカスパーゼー3活性は持続的に上昇した。臍帯再還流によりカスパーゼー3活性はより長く持続し元のレベルに回復した。これらの反応はカスパーゼー3インヒビターの前投与により、抑制された。さらに、ミトコンドリアのアポトーシス誘導因子であるチトクロームcの関与を調べた。ミトコンドリア内膜の透過性亢進によるチトクロームcの放出を抑制するシクロスポリンAはカスパーゼー3活性の上昇反応を抑制した。 これらの結果から、胎仔脳は低酸素に対してチトクロームcを介するカスパーゼー3活性の上昇を抑制し、アポトーシスから脳を保護するような機構をもつことが示唆された。
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