2004 Fiscal Year Annual Research Report
エピプラキン遺伝子異常は疾患を惹起するか?遺伝子改変マウス作成と変異遺伝子導入
Project/Area Number |
15591184
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
藤原 作平 大分大学, 医学部, 教授 (90181411)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉岡 秀克 大分大学, 医学部, 教授 (00222430)
住吉 秀明 大分大学, 医学部, 助手 (60343357)
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Keywords | エピプラキン / ノックアウト・マウス / 中間径フィラメント / プレクチン / 自己免疫性水疱症 / 自己抗原 / 表皮下水疱症 |
Research Abstract |
【目的】エピプラキンは水疱性疾患の原因抗原として同定された蛋白質で、表皮、消化管上皮、唾液腺、毛包等に発現を認める。今回、エピプラキンの生体組織に与える影響について検討するため、エピプラキン欠損マウスを作成し、その機能について解析した。 【方法】マウスエピプラキンの翻訳開始点の下流0.5kbの位置にターゲティングベクターを挿入し、エレクトロポレーションにてES細胞内に導入し、エピプラキン欠損マウスを作成した。各組織を野生型と欠損型で比較検討した。また、マウスの背部に皮膚欠損を作成し、野生型と欠損型でその治癒過程を比較した。さらに、生後2日目のマウスの表皮を培養し、ケラチノサイトの移動速度とその形態学的変化について野生型と欠損型の比較検討も行なった。 【結果】欠損型マウスは野生型と同様に正常に生まれ、成長し、各組織のHE標本では野生型と欠損型では明らかな差は認められなかった。マウスの背部に皮膚欠損を作成し、その治癒過程を比較したところ、欠損型マウスの方がやや早い上皮化を認めた。生後2日目のマウスの表皮を使用した培養においても欠損型マウスのケラチノサイトが野生型に比べて有意に早い移動速度を示した。マイトマイシンC処理した表皮を使用した培養においても欠損型マウスは有意に早い移動速度を示した。さらに遊走ケラチノサイトをケラチン6及びエピプラキンの抗体で染色し共焦点レーザー顕微鏡で観察したところ、野生型では一部の細胞でケラチン6とエピプラキンとが同一の染色パターンをとっていた。しかし、欠損型ではケラチン6が伸展し染色性が低下している細胞が多く認められた。 【考察】エピプラキンは、細胞内に存在し中間径線維と結合し、それらを束ねる役割をしていると考えられている。今回、エピプラキンが欠損することによってケラチン6の性状が変化し、それがケラチノサイトの移動に影響を与えることが示唆された。
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