2004 Fiscal Year Annual Research Report
表皮細胞デスモゾームの分子形態および棘融解発生機序の免疫電顕法を用いた解明
Project/Area Number |
15591192
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
石河 晃 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (10202988)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西川 武二 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (50051579)
天谷 雅行 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (90212563)
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Keywords | デスモソーム / 免疫電顕法 / デスモグレイン / 尋常性天疱瘡 / デスモプラキン / 細胞接着 / 電子顕微鏡 / 自己免疫疾患 |
Research Abstract |
尋常性天疱瘡(PV)はデスモソームに存在するデスモグレイン3(Dsg3)に対する自己抗体により表皮細胞が棘融解をきたす自己免疫性水疱症である。本研究の目的は、正常マウス、PVモデルマウス、Dsg3ノックアウトマウスを用いて、超低温免疫電顕法により、in vivoにおけるすべてのデスモソーム構成蛋白の分布・局在様式を電顕的に観察し、分子形態学的に棘融解発症機序を解明することである。本年度は,Dsg3ノックアウトマウスのデスモソーム構成蛋白のデスモソームあたりの密度を解析するとともに、PVモデルマウスにおけるデスモソーム構成蛋白の分布、密度の変化を解析し、正常コントロールと比較検討した。その結果Dsg3_<-/->マウスは、プラコグロビン(PG)のみに有意な分子密度の減少を認めた。一方、PVモデルマウスでは、デスモプラキン(DP)のみが24nmと、大きく細胞内側に偏位していたが、1デスモソームあたりの分子密度は有意な変化を示すものを認めなかった。DsgはPGとはDM内で直接強く結合しているが、DPとはPGを介して間接的に結合しているとされている。Dsg3_<-/->マウスでは、昨年までにDPが細胞内にわずかに変位していることが明らかになつたが、Dsg3の欠損によりデスモソーム内に組み込まれるPGの数が減少していることが、DPを保持する力が減少させ、DPが変位したと考えられた。一方、PVモデルマウスではPGの数や位置の変化を伴わずにDPが大きく変位していることから、自己抗体のDsg3への結合のシグナルが、直接結合してない細胞内のDPに伝達されたことが示唆された。以上より、Dsg3_<-/->マウスとPVモデルマウスのデスモソームで生じている分子変化に差があることが初めて分子形態学的に示された。また、棘融解には細胞質内の変化は十分条件ではなく、Dsg3の機能的障害が重要であることが示唆された。
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Research Products
(2 results)