2003 Fiscal Year Annual Research Report
治療抵抗性統合失調症の病態モデルと治療メカニズムの研究〜ドパミン仮説からの脱脚〜
Project/Area Number |
15591207
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
安部川 智浩 北海道大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (80301901)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久住 一郎 北海道大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (30250426)
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Keywords | 統合失調症 / 治療抵抗性 / 病態モデル / 前頭前野 |
Research Abstract |
D2型dopamine受容体遮断能を主作用とする定型抗精神病薬に対して治療抵抗性の統合失調症の病態モデルとしてNMDA受容体機能低下モデルがある。PhencyclidineはNMDA受容体遮断能を主作用の1つとするため、phencyclidineによって実験動物に惹起される異常行動や神経化学、薬理学的変化のメカニズムを検討することで、統合失調症の治療抵抗性の病態理解や新たな治療法の開発に有益な資料を提出できる可能性がある。 我々は、NMDA受容体遮断能を主作用の1つとするPhencyclidineを動物に投与した際に生じる移所運動量の増加などの異常行動と、この異常行動の基盤と考えられる内側前頭前野でのグルタミン酸濃度の増加が、D4型dopamine受容体および5-HT2A受容体遮断能を有する新規物質NRA0045により抑制されるが、選択的D4型dopamine受容体遮断能を有するNRA0160では同様の効果は得られないという結果を得た。 また、現在投稿準備中であるが、内側前頭前野にグルタミン酸ニューロンを投射している背内側視床をイボテン酸破壊すると、選択的NMDA受容体遮断薬であるMK-801による異常行動およびグルタミン酸濃度上昇が亢進するという結果を得ている。このことは、背内側視床の障害が、統合失調症の治療抵抗性の病態に関与する可能性を示唆する。 さらに、phencyclidineによる内側前頭前野でのグルタミン酸濃度の増加は、NMDA受容体の刺激により阻止され、さらに、D1型dopamine受容体の刺激は、上記NMDA受容体刺激の効果を亢進させるとの結果も得た。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Abekawa T., Honda M., Ito K., Koyama T.: "Effects of NRA0045, a novel potent antagonist at dopamine D4,5-HT2A, and alpha1 adrenaline receptors and a selective D4 dopamine rece antagonist, on phencyclidine-induced behavior and glutamate release in rats"Psychopharmacology. 169. 247-256 (2003)