2003 Fiscal Year Annual Research Report
統合失調症の前頭前野を中心とする並列分散情報処理機構の機能画像研究
Project/Area Number |
15591222
|
Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
篠崎 和弘 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (40215984)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 直起 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (60326361)
北端 裕司 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (90264887)
郭 哲次 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (70185718)
武田 雅俊 大阪大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (00179649)
鵜飼 聡 大阪大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (80324763)
|
Keywords | 統合失調症 / 脳磁図 / 幻聴 / 前頭前野 / スツループ課題 / ネットワーク |
Research Abstract |
統合失調症の並列分散情報処理機構をStroop課題と脳磁図の空間フィルタ解析SAMを用いて検討した。Stroop課題は前頭前野の抑制機構に関係する課題である。SAMは200msの時間窓で脳波の賦活部位(脱同期)を領域的に捉えることができる。課題提示から運動反応までの約650msを上記時間窓を50msづつ移動させながら、大脳皮質の賦活部位を検討した。被検者は健常者5名、統合失調患者は鑑別不能型3名、妄想型3名で、全員より文書による同意を取った。 1.健常者では左頭頂・後頭境界領野・右前頭極、両側の背外側前頭前野DLFPC、両側の構音に関する領野がこの順に150msから550msの間に重なり合いながら賦活された。即ち入力系(頭頂葉)→組織制御系(前頭前野)→運動野(出力系)の情報処理の流れが保たれていた。統合失調症2群でも入方系から出力系に領域の時間関係は保たれていた。 2.鑑別不能型統合失調症では刺激提示の早期より左の下頭頂領域、中側頭部に賦活が見られた。これは認知情報処理の段階で機能異常があり言語系ネットワークが代償性に賦活されているためと推測された。 3.妄想型統合失調症では左ではなく右のDLPFCが賦活された。一方、他の2群では左DLPFCが賦活され、これはStroop課題が言語課題であるためと解釈した。先行研究によると幻聴体験と左半球の前頭(組織制御系)・側頭部(言語系)の機能関連の障害の関連があり、そのために内言語体験から自己所属性が失われて幻聴体験となる推論されている。同様の障害の代償性に右DLPFCが賦活されたのであろう。 統合失調症の並列分散情処理機構の健常者との差異を前頭前野課題で捉えた。これらの所見が精神症状、認知機能障害、社会生活障害と強く関連していること、また薬物治療、リハビリテーションなどの治療介入による改善と関連していること、などの検討が必要である。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] K Shinosaki, M Yamamoto, S Ukai S Kawaguchi, A Ogawa, R Ishii, Y Mizuno-Matsumoto, T Inouye, N Hirabuki, T Yoshimine, T Kaku, SE Robinson, M Takeda: "Desynchronization in the right auditory cortex during musical hallucinations : a MEG study."Psychogeriatrics. 3. 88-92 (2003)
-
[Publications] K Shinosaki, R Ishii, S Ukai, Y Mizuno-Matsumoto, T Inouye, M Tutiyama, T Kaku, M Takeda: "Effect of healthy aging on brain functional connectivity : a EEG study."Psychogeriatrics. 3. 44-53 (2003)
-
[Publications] Kawaguchi S, Shinosaki K, Ukai S, Ishii R, Yamamoto M, Ogawa A, Fujita N, Yoshimine T, Takeda M: "Interictal spikes in the fusiform and inferior temporal gyri of an epileptic patient with colored elementary visual auras : a 5-year longitudinal MEG ECD study"Neuroreport. 24:14(4). 637-640 (2003)
-
[Publications] 鵜飼聡, 川口俊介, 篠崎和弘 ら: "統合失調症患者の前頭前野・言語関連領野の活動のMEG研究"臨床脳波. 45. 703-710 (2003)