2003 Fiscal Year Annual Research Report
神経変性疾患Wolfram症候群原因遺伝子の生後発達時における脳内発現の変化
Project/Area Number |
15591228
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
河野 純 山口大学, 医学部, 助手 (80251924)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤永 竜太郎 山口大学, 医学部, 助手 (30335723)
柳井 章江 山口大学, 医学部, 助手 (20284854)
篠田 晃 山口大学, 医学部, 教授 (40192108)
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Keywords | 神経変性疾患 / Wolfram症候群 / 遺伝子発現 / マウス / 脳 / 生後発達 / 組織化学法 / タイリング |
Research Abstract |
Wolfram症候群は、精神・神経症状と遺伝子突然変異との関連が指摘されている神経変性疾患の一つであり、精神・神経症状として、うつ、神経症、人格障害、認知障害などを呈する。したがって、原因遺伝子(WFS1)の脳内発現を知ることは、精神疾患の解明に重要である。初年度となる今年度は、画像タイリングシステムの構築、若年成獣雄性マウス脳および新生仔雄性マウス脳におけるWfs1 mRNA発現解析を組織化学法により行ったのでその結果を報告する。 まず、プラネトロン社製ProScan電動ステージ一式を購入し、既存設備と組み合わせて画像タイリングシステムを構築した。このシステムの導入により、脳切片全体の高精細な顕微鏡写真を短時間に撮影することが可能となり、この写真を利用することにより標識細胞のマッピング(位置記録)が迅速化された。 次に、DIG-labeled Wfs1 3'cRNA probesを用いて、若年成獣雄性マウス脳におけるWfs1 mRNA発現の解析を行なった。短期記憶に関連の深い海馬CA1、Parasubiculum、脳内情報をまとめ記憶に結びつける部位である嗅内皮質に強発現が観察された。その他に、大脳新皮質第II層、梨状皮質・外側中隔核・側坐核・嗅結節・中心扁桃体核・分界条床核などの辺縁系諸構造、三叉神経運動核・顔面神経核などの脳幹運動神経核では中等度発現が観察された。一方、精神・神経症状に深い関連を持つとされる縫線核・青斑核では、弱発現のみが観察された。 さらに、新生仔雄性マウス脳における発現を解析した。若年成獣マウスと比較して、新生仔では発現が著しく弱かった。ただし、梨状皮質・中心扁桃体核・嗅結節・三叉神経運動核・顔面神経核などでは若年成獣マウスと同等の中等度発現が、縫線核・青斑核においても若年成獣マウスと同等の弱発現が観察された。
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