2003 Fiscal Year Annual Research Report
死後脳研究で異常が報告されている蛋白を標的とした統合失調症モデルの検討
Project/Area Number |
15591229
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
加藤 邦夫 高知大学, 医学部, 助教授 (70346708)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下寺 信次 高知大学, 医学部附属病院, 講師 (20315005)
幸田 和久 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (40334388)
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Keywords | stress / schizophernia / animal model / complexin / synaptic plasticity / behavior / knockout mouse / PLA2 |
Research Abstract |
統合失調症モデル動物のストレス脆弱性について検討することが本研究の目的である。現在complexin II遺伝子欠損マウスとcPLA2遺伝子欠損マウスをモデル動物として検討している。これらの遺伝子欠損マウスの生理学的特徴をまず把握し、それぞれについてストレスを与えた場合にその理学的特徴がどのように変化を受けるのかを調べ統合失調症モデルとしての妥当性を検討する。(1)Complexin II遺伝子欠損マウスについてはシナプスの可塑性を始めとする電気生理学的特徴が調べられている。また行動学習においては水迷路試験やrota red試験において空間および運動学習能力の現象が認められている。またamphetamineに対する移所運動量の増加が遺伝子欠損マウスにおいて有意に増加していた。さらに生後すぐから2週間母子分離ストレスを与え、その後の生理学的特性の変化を遺伝子欠損型と野生型において比較検討した。その結果、母子分離ストレスは野生型においては空間学習機能にはなんら影響を与えなかったが、遺伝子欠損マウスにおいてより大きな空間学習機能低下を示した。今後シナプス可塑性に与える影響を検討する予定である。(2)cPLA2遺伝子欠損マウスについては生理学的機能を検討しているところである。Complexin II遺伝子欠損マウスにおいてはシナプス可塑性において大きな変化は認められなかった。しかしながらcPLA2遺伝子欠損マウスにおいてはシナプス反応の長期増強現象には差が認められなかったが、長期抑圧現象が大きく低下することがわかった。この原因は人為的にアラキドン酸を後シナプスに補充すると長期抑圧現象が再び誘導されることから、後シナプスに存在するべきアラキドン酸の欠如によるものであることがわかった。また、空間学習機能は低下を示した。今後cPLA2の中枢神経系における生理機能をさらに明らかにするとともにストレスに対する脆弱性を検討する予定である。
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