2004 Fiscal Year Annual Research Report
アルコール・依存形成薬物によるストレスの神経細胞応答とその記憶の分子機構
Project/Area Number |
15591238
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
相馬 仁 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (70226702)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒木 由夫 札幌医科大学, 医学部, 教授 (70161784)
齋藤 利和 札幌医科大学, 医学部, 教授 (50128518)
橋本 恵理 札幌医科大学, 医学部, 講師 (30301401)
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Keywords | アルコール / 依存形成薬物 / 細胞障害 / 神経家用因子 / BDNF / CREB / 分化 |
Research Abstract |
アルコールや依存形成薬物は、細胞にストレスを与え、またCa^<2+>やcAMPを介する細胞内情報伝達系に異常をもたらし、細胞障害(アポトーシス)を誘導する。今年度、分化能を持つ神経培養細胞株を用いて、神経栄養因子生成の障害を検討し、次の結果を得るに至った。 1.ヒト由来神経培養細胞株SH-SY5Yをレチノイン酸で分化すると、シナプスを形成し、神経ネットワーク用構造を形成する。分化、未分化細胞へのアルコール障害を細胞の生存率で検討した結果、未分化の細胞はよりアルコールによる障害を受けることが分かった。 2.分化した細胞へのアルコールの暴露で、転写因子CREB活性が減弱し、神経栄養因子BDNFの発現量がコントロールと比べて有意に減弱した。 3.しかし、未分化の細胞ではアルコールの暴露によるCREB活性、BDNF発現量はコントロールと比べて減少傾向はあるものの、有意ではなく、分化、未分化細胞のアルコール感受性の違いは、今のところ不明で、更なる検討を要する。 4.アルコールの生体への影響で、海馬の神経細胞への障害が顕著である。また、BDNFはアルコールによる障害への抵抗性を示すことが報告されている。次に、ラット海馬から調製した初代培養細胞を用いて、アルコール障害へのBDNFの影響を調べた。その結果、BDNFはコントロールと比べて有意にアルコール障害を減弱することが示された。 以上の結果より、Ca^<2+>やcAMPを介した転写機能変化が、アルコールや依存形成薬物による細胞障害性とかかわることが示された。更に、分子機構の詳細に関する検討を進めている。
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Research Products
(3 results)