2005 Fiscal Year Annual Research Report
アルコール・依存形成薬物によるストレスの神経細胞応答とその記憶の分子機構
Project/Area Number |
15591238
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
相馬 仁 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (70226702)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 利和 札幌医科大学, 医学部, 教授 (50128518)
橋本 恵理 札幌医科大学, 医学部, 講師 (30301401)
黒木 由夫 札幌医科大学, 医学部, 教授 (70161784)
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Keywords | アルコール / 依存形成薬物 / 細胞障害 / カルシウムストレス / 神経栄養因子 / 分化 |
Research Abstract |
慢性的にアルコール暴露を受けると、細胞はイオンチャネル活性の亢進によるCa^<2+>細胞障害をもたらされる。一方、アルツハイマー病はアミロイドβ蛋白(Aβ)の蓄積が特徴的で、AβはCa^<2+>チャネルを形成しカルシウムストレスを与えることが示されている。また、脳梗塞など脳虚血状態の回復期には、脳内Ca^<2+>チャネル異常活性化が報告され、Ca^<2+>による神経細胞障害がこれらの疾患で共通する。 神経培養細胞を用いた基礎研究で、細胞にカルシウムストレスを与えると、それに抵抗して細胞は種々の蛋白質を発現し障害からの回避を行う。その中には、Ca^<2+>結合蛋白質が含まれ、細胞内Ca^<2+>濃度上昇を抑えることによりホメオスタシスを維持しようとする。我々は、その中でCa^<2+>・リン脂質結合蛋白質アネキシン5が細胞外に分泌されることを見出した。 更に詳しく検討する目的で、本研究では神経培養細胞(C6グリオーマ)にCa^<2+>イオノフォアによるカルシウムストレスを加え、細胞から分泌される蛋白質を検討した。脂質と相互作用する蛋白質群は、血液脳関門を構成する細胞の膜間を通過(移動)し血液へ移行する可能性があり、分子マーカーを考える上で有効である。二次元電気泳動法、蛋白質スポットのトリプシン分解後、LC-MSによる解析により、アネキシン5など種々の蛋白質が同定された。 次にアネキシン5に注目し、ヒト血漿で検討した。2種のモノクローン抗体を用いたサンドイッチELISAシステムを確立し、認知症患者(アルコール性、アルツハイマー型、脳血管性)と対照の健常者の血漿中アネキシン5量を比較した結果、アルコール性、アルツハイマー型、脳血管性患者のいずれにおいてもアネキシン5濃度は有意に高かった。 従って、アネキシン5が分子マーカーとなると考えられる。更に他の複数の分子マーカーが明らかになれば、認知症の各タイプの識別が可能になることが期待される。
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Research Products
(3 results)