2004 Fiscal Year Annual Research Report
薬物依存動物モデルにおける海馬アミノ酸神経伝達と認知機能障害に関する研究
Project/Area Number |
15591243
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Research Institution | JUNTENDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
鈴木 利人 順天堂大学, 医学部, 助教授 (10196850)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大沼 徹 順天堂大学, 医学部, 講師 (10286734)
安宅 勇人 順天堂大学, 医学部, 助手 (60348977)
石 龍徳 順天堂大学, 医学部, 講師 (20175417)
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Keywords | phencyclidine / drug abuse / hippocampus / neurogenesis / sensitization |
Research Abstract |
近年、統合失調症の認知機能障害と前頭葉や海馬との関連性が注目されている。海馬では、学習認知などへの神経新生現象の意義が論じられている。そこで統合失調症類似の症状を惹起させるPCPを単回および連続投与したラットにおいて、海馬歯状回の神経新生への影響を検討した。 方法:SD系雄性ラットにPCP7.5mg/kgまたは同量の生理食塩水(対照群)を腹腔内投与し、以下の4つの実験を行った。 実験1;PCPを単回投与し24時間後に5'-bromo-21-deoxyuridine(BrdU)を投与した。 実験2;PCPを1回/日、2週間連続投与し、最終投与の24時間後にBrdUを投与した。 実験3;連続投与終了の1週間後にBrdUを投与した。実験1〜3ではBrdU投与後2時間後に脳を海流固定した。 実験4;連続投与終了の24時間後にBrdUを投与し4週間後に潅流固定した。 行動異常の観察は、PCP投与開始後数日間隔で自発運動量を測定した。常同行動や失調症状、首振り運動(weaving)はビデオ撮影後、その程度を観察し評価した。脳から海馬を切り出し50μm厚切片を作成し、抗-BrdU抗体を用いて歯状回顆粒細胞層の新生細胞を染色した。実験4では、新生細胞の分化を検討するため、BrdU陽性細胞、神経細胞、グリア細胞を3重螢光染色し、共焦点顕微鏡で細胞数を測定した。 結果:PCP投与群では、自発運動量が対象群の約4倍に増加し、常同行動は投与目数とともに有意に顕在化し行動感作を認めた。失調症状や首振り運動は漸減し耐性現象を認めた。BrdU陽性細胞数は、PCP群(実験2)で約23%減少したが、1週間後(実験3)および単回投与(実験1)では有意差を認めなかった。分化については、両群ともに新生細胞の約9割が神経細胞に分化していた。 以上からPCP慢性投与では神経新生現象を抑制している可能性が示唆された。
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Research Products
(4 results)