2004 Fiscal Year Annual Research Report
双極性障害におけるミトコンドリア関連遺伝子多型の臨床的意義に関する研究
Project/Area Number |
15591249
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
鷲塚 伸介 信州大学, 健康安全センター, 助教授 (60313855)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 忠史 理化学研究所, 脳科学総合研究センター・精神疾患動態研究チーム, チームリーダー (30214381)
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Keywords | 双極性障害 / ミトコンドリア / NDUFV2 / 遺伝子多型 / 遺伝子発現量 / プロモーターアッセイ |
Research Abstract |
我々は、ミトコンドリア複合体Iのサブユニットをコードする核遺伝子、NDUFV2について、双極性障害との関連を調べた。前年度の研究により日本人、米国人サンプル双方で双極性障害との関連が見出された、上流調節領域に存在する複数の一塩基変異多型について機能解析を行った。プロモーターアッセイを行ったところ、上記多型の1つが機能的意義を有することが確認された。 また、前年度に調べた複合体Iの多数のサブユニット遺伝子発現量に続いて、我々は複合体IVサブユニットをコードする複数の核遣伝子の発現量を調べた。培養リンパ芽球で発現量の相対的定量を行ったところ、統計学的に明らかな関連は認められなかったものの、双極性障害群においては健常者群に比べて発現量は低下傾向にあり、それらはNDUFV2の発現量と相関していた。同時にミトコンドリアに共通する転写因子関連遺伝子についても発現量を調べたが、双極性障害との関連は見出されなかった。これらの結果と前年度の研究を合わせて、NDFV2以外の多くの複合体サブユニット遺伝子の発現量が、健常者サンプルに較べて双極性障害患者で低下していることが認められ、しかもそれらはNDUFV2の発現量と相関しており、最も顕著な低下が見られたのはNDUFV2であったことから、NDUFV2の遺伝子多型による発現量低下が、ミトコンドリア複合体の他のサブユニットに影響していると考えられた。 さらに、NDUFV2の位置する染色体座位18p11は、統合失調症との関連も指摘されていることから、双極性障害との関連が認められた遺伝子多型について統合失調症との関連も調べたが、有意な関連を示した多型は見出されなかった。
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Research Products
(2 results)