2005 Fiscal Year Annual Research Report
医療同意能力の判定と代諾者の選任に関するシステム構築のための研究
Project/Area Number |
15591251
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
白石 弘巳 東洋大学, ライフデザイン学部, 教授 (80291144)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五十嵐 禎人 東京都精神医学総合研究所, 主任研究員 (40332374)
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Keywords | 判断能力 / インフォームド・コンセント / 判断能力評価 / 医療の代諾 / 精神神経科 / 内科 / 外科 / 認知症高齢者 |
Research Abstract |
医療に関する同意能力が低下し、患者自身による治療決定が困難となる要因として、認知症、意識障害、認知症以外の精神障害などがある。こうした状況の人が医療を受けるに際して、どのような対策や支援が必要とされるのか検討するためアンケート調査を行った。全国の病院に勤務する内科・外科の担当責任者を対象として調査票を配布した。調査票は828通発送し、347通の回答を得た(有効回答率41.9%)。医療同意が困難な患者の治療決定に関して、回答者が最近1年で感じた困難や負担のうち、頻度が高かったのは「退院後の行き先に関わる問題」(47.9%),「代理人がいない場合に、適切な代諾者を探すこと」(30.5%)などであった。医療同意が困難となった患者の治療決定に際して実際に治療決定を行った立場でもっとも頻度が高かったのは、「複数の親族・知人が合議で決める」で、「原則として毎回」が38.5%、「必要に応じてしばしば」が48.7%となっていた。日本の現状では、代行判断者を決定して治療決定行うより、複数で合議する事例が多いことがわかった。また、「親族・知人が不在で、それ以外の代理人もいない」という事例を最近1年間に経験したとの回答は、全体の27.2%(その内12.7%が2件以上)に上っていた。またその場合の代諾者となった者の立場としては、ケースワーカー(52.2%)、主治医(28.3%)、上司や専門の医師(26.1%)、執刀医(5.4%)、倫理委員会(3.3%)、弁護士(2.2%)となっていた。以上の結果、現状では代諾者となりうる親族がいない場合の医療方針の決定について、ガイドラインの策定が急務であるとの結論を得た。この結果に加え、これまでの研究成果を元に、医療同意能力に問題がある場合に、さしあたって必要な改革について考察と提言を行った。
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Research Products
(3 results)